三木谷社長がシリコンバレーにも住むワケ 11月からは月のうち1週間は海外勤務に

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三木谷:これからのインプリメンテーション(実装)で一番重要なことは本当にシナジーを出すということ。楽天がなぜ強いかといえば、楽天トラベルがあって、楽天市場があって、楽天カードがあって、楽天銀行があって、楽天証券があって・・・。みんな同じビルの中で同じ釜の飯を食ってやっているというところが強いわけです。

それをグローバルベースで、ほんとに実現できるかどうかというところが、僕の手腕の問われるところですよね。Googleはシリコンバレーに大きなキャンパスを作って、そこにほぼ、みんなを集めている。Facebookもそうです。つまり、同じ釜の飯、というスタイルでやっている。楽天もそれぞれがインディペンデントでバラバラにやるのではなく、一つにまとめたい。サービスについて統合するかどうかとは別の話で、シナジーのような形で、ある程度ロケーションを含めて集めていくということが重要だと思っています。今、ロケーションを世界的に統合していきたいと思っているんですよ。

山田:二子玉川に新設する本社は、そのためのものでもある、と。

三木谷:新本社では新しいワークスタイルを確立すると同時に、デイケアセンターを設置します。デイケアセンターについて僕が言っているのは、世界で一番いいデイケアセンターを作れ、と。ファシリティー的にではなくプログラム的に最高のもの、という意味です。楽天の社員の子供はバイリンガルに簡単になれるとか、そういうようなところも含めて、きちんと全体を設計したい。

だから僕はこれを本社ではなく、ハウスだと言っているんです。ワークライフバランスとよく言いますし、それは重要だと思いますが、それだけではなく、ワークがライフをサポートする時代に入っていくからです。

山田:切り分けるものではない、と。

三木谷:だって、人間にとって、ワークに使っている時間は非常に長いわけじゃないですか。だからこそ、ワークの中にライフをうまく調和させていくライフスタイルを新楽天タワーでは実現したい。これを僕らは「クリムゾンハウス」という名前に変えようと思っているんですけども。

山田:ハウス、つまり家なんですね。

三木谷:そうなんです。ハウスを実現したいと思っています。

シリコンバレーの拠点も統合したい

山田:シリコンバレーの話に戻りますが、月に1週間ほどアメリカに駐在する時には1人ですか。それとも何人か向こうに送り込むイメージですか。

三木谷:すでにかなりいますよ。500~600人はもういるでしょう、アメリカの社員は。そのうち日本人は50~60人かな。

山田:50~60人で足りていますか。

三木谷:いやもっと増やします。シリコンバレーに日本のエンジニアをどんどん派遣する。と同時に、シリコンバレーからエンジニアをどんどん日本に連れてきます。ただ、細かいことは決まっていません。これは、漠然とした考えです。

山田:シリコンバレーはますます重要な拠点になっていくわけですね。

三木谷:Ebatesもあるので、サンフランシスコやシリコンバレーだけで4つの拠点があるんですよ。これも本来、統合しなければいけないと思っています。

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