JRはなぜ自前の発電所や変電所を持っているのか 電車を動かす鉄道会社は大量の電気を使用する

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鉄道会社では沿線に自社の変電所を備えている(筆者撮影)

2021年10月10日、埼玉県蕨市にあるJR東日本の変電所で火災があり、首都圏の9つの路線で一時運行を見合わせた。1カ所の変電所のトラブルが広範囲の路線に影響したのだが、報道にあった「基幹変電所」とは何なのか。そもそもJR東日本が変電所を保有しているのはなぜなのか。報道を聞いただけでは消化不良になってしまいそうなので、ここでは鉄道会社が持っている変電所や電力設備について、深掘りをしてみよう。

鉄道会社は自前の変電所を持っている

鉄道会社は多かれ少なかれ、電気を供給するための電気設備を自前で持っている。それは電車が走っていようが、ディーゼルカーだけだろうが同じことだ。今回注目された変電所も、電気設備の一部に含まれる。

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電気の供給を受ける場合、首都圏であれば東京電力から電気を購入するケースが多いだろう。一般の家庭であれば、東京電力が家庭用の電気として交流100Vの電気を用意してくれる。ところが、鉄道会社のように大量に電気を使用する場合は、電力会社が末端部分まで電気の面倒を見ることはない。電車を動かす場合は、直流1500Vや交流20000Vといった特殊な電気を供給しなければならず、電力会社が特定のユーザーのために専門の設備を持つのは効率が悪いからだ。ということで、電力会社は一括して電気を供給するにとどめ、電気を変換して使うほうはユーザーが担う形態になっている。

これは鉄道に限らず、工場・倉庫・商業施設・ビル・高層マンションなど、大量に電気を使う施設であれば自然に行われている習慣だ。こういった施設では、東京電力のような電力会社から強い電気をまとめて購入し、施設の中に「電気室」などと呼ばれる設備を設けて、照明・コンセント・エレベーターなどの設備で使いやすい電気に変換している。

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