キャンピングカー業界がコロナ特需を喜べない訳 レンタル需要が増えても売上が伸び悩む理由は

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クレソンジャーニー エボライトのキッチンスペース(筆者撮影)

レンタル料金は、季節や車種などで変わる。例えば、1日料金では、ゴールデンウィーク(4/29~5/5)やお盆・夏休み期間中(8/5~8/16)のトップシーズンは1日4万9500円~5万2250円。それ以外の夏場(7/16~8/4、8/17~8/31)や年末年始(12/24~1/3)のハイシーズンは3万5750円~3万8500円。それらを除くレギュラーシーズンでは、平日の月曜~木曜が2万2000円~2万4750円、金曜・土曜・日曜・祝日が2万7500円~3万250円だ。ほかにも料金ラインナップには、1時間あたり2200円からの時間貸し料も設定する。

車両を貸し出す店舗は、千葉県の船橋本店や成田の千葉富里店となる。東京都でも新橋店やALBI・世田谷店があるほか、北海道にも新千歳空港近くの提携レンタカー会社などがある。

ちなみに、日本でのレンタル事業のほか、アメリカなどに渡航し、キャンピングカーをレンタルする日本人旅行者向けに、現地エルモンテRVの予約サービスなども行っている。だが、これについては、やはりコロナ禍により、現在はほとんど需要がない。

インバウンドと日本人の違い

同事業部の顧客は、前述のとおり、コロナ禍の影響がでる前の2019年までは、インバウンドの訪日外国人が半分以上を占めていた。とくに自国でもキャンピングカーが身近な欧米からの旅行者が大半だ。エルモンテRVジャパンの武原氏によると、欧米からの訪日外国人は、「レンタルする期間が長い」ことが特徴だ。平均で15泊と、2週間以上レンタルするユーザーが多い。2019年のラグビーワールドカップ開催期間中は、1カ月近くレンタルした顧客も多かった。利用客は、友人同士から家族連れなどさまざま。目的の多くが「電車など公共交通機関ではいけない場所を旅する」ことだ。キャンピングカーで旅しながら、日本の魅力を堪能したい層に人気がある。中には、日本1周をした強者もいたそうだ。

バンクベッドと呼ばれる就寝スペース(筆者撮影)

 一方、コロナ禍の影響が出た2020年以降は、これも先述したように、利用客はほぼ日本人だ。2021年では、日本人の需要がそれまでの1.5倍以上に増えた。夏休み期間中は、22台ある車両がすべて出払い「予約を断ったほど」だという。利用者の中心は、30代~40代のファミリー層で、家族4名ほどで旅行するケースが多い。中には、高齢の親を含めた親子3世代が6名ほどで借りたり、若い世代が卒業旅行などで利用したりする例などもあり、年齢層は意外に幅広い。レンタル料金は、一般的なレンタカーを借りるより高めだが、「海外旅行の代わりに、ちょっとリッチな旅をする」ために利用する層も多い。

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