心のすみか奈良 伊藤みろ著

心のすみか奈良 伊藤みろ著

著者・伊藤みろ氏の写真は、奈良の寺社の深奥に現代まで息づく日本の宗教の古層に迫っており、一枚一枚に神々の存在を感じさせる空気がある。

大判豪華本にしても耐えうる芸術性の高い写真の数々だが、著者のより多くの人に見てもらいたいという意向から、普通サイズのフォトエッセー集にまとめられたという。それでも写真の力は失われておらず、著者の「奈良の心」に対する解釈が鮮やかに伝わってくる。装丁も細心で、カバーを取ると、本体の表紙に予期せぬ工夫も。

東大寺長老・森本公誠師、唐招提寺執事・西山明彦師、元興寺住職・辻村泰善師、春日大社権宮司・岡本彰夫師など、奈良を代表する碩学のメッセージがたっぷり収録されているのも本書の大きな魅力だ。彼らがいかに生きるべきかを、極めて平易に語る能力には驚かされるが、一つ一つの言葉が心に届いてくる。

平城遷都1300年の年だけにより味わい深い。

武田ランダムハウスジャパン 2000円

  

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