自民党総裁選「テレビ」の報道がやたら過熱する訳 最もわかりやすい権力闘争に視聴者の関心集まる

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「総裁選」とテレビは親和性も高い。

そして、その理由は「公職選挙法が適用されない」ことも大きい。

自民党総裁選は、あくまで「政党の総裁」を選ぶ選挙なのだ。

衆議院の総選挙や参院選といった「国政選挙」、あるいは都知事選や県議会選など地方自治体の選挙とは違って「公職選挙法」の適用外である。

実質的には「次の総理」を選ぶ選挙だが、投票資格があるのは自民党員と国会議員〝だけ〟であり、「公職の選挙」ではない。

テレビの選挙報道に関して「放送法」では厳密に定められている条文はないのだが、日本民間放送連盟(民放連)による「放送基準」には「政治に関しては公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する」「 選挙事前運動の疑いがあるものは取り扱わない」という項目がある。

「公職選挙」の際は抑制した報道が通例

テレビ各局・各番組はこの基準に基づいて、「公職選挙」の際には抑制した報道をすることが通例となっている。

例えば選挙の「公示日」以降に、各政党が激しい選挙戦を繰り広げるニュースは、基本的に「すべての政党を取り上げる」必要がある。各党の党首の動きを伝える際には、現在の衆議院だと、自民、立憲民主、公明、共産、維新、国民民主などの党首についてひと通り伝えなくてはならない。

個別の選挙区について触れるときも、〇〇県の〇区を取り上げる時はそこに出馬している候補者すべてに触れる必要がある。

「自民vs立民の一騎打ち!」と思われる選挙区でも、他にも候補者がいればその人物も紹介しなくてはならない。当然といえば当然なのだが。

以前の選挙では小泉進次郎氏の応援演説には、多くの(主に女性層の)聴衆が集まり その様子を「開票特番」では各局がこぞって放送していたが、あくまで「開票特番」だから放送するのであって、選挙期間中には取材はしてもOAはしないことになっている。

「いち政党」の「いち国会議員」の動向を選挙期間中に取り上げるのはNGだ。

昨年行われた東京都知事選のように候補者が「22人」も出た場合などは、夕方のニュースですべての候補を取り上げるのは困難なので、「主要候補者」として、既存の政党が支持する候補者などに絞って伝えたりする。そのため報道での露出が少ない候補者たちから「不公平」という抗議が出たりする。

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