テンセントの「広告事業」に中国政府の規制リスク 教育改革政策や個人情報保護の影響が不可避

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テンセントの2021年4~6月期決算は大幅な増収増益を達成したが、中国政府の規制強化で先行きは不透明になりつつある(写真は同社ウェブサイトより)

8月18日、中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は2021年4~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比20%増の1382億5900万元(約2兆3390億円)、純利益は同29%増の425億8700万元(約7205億円)と、大幅な増収増益を達成。なお、投資収益や無形資産の償却などを控除・調整した非国際会計基準の純利益は、同13%増の340億3900万元(約5759億円)だった。

テンセントの純利益を押し上げたのは(直前の1~3月期に引き続き)投資収益だ。決算報告書を見ると、投資収益を含む「その他収益」に前年同期の約2.4倍の208億元(約3519億円)が計上され、そのうち投資先の企業価値上昇による評価益が145億8000万元(約2467億円)に上った。

投資以外の主力事業では、スマートフォンなどモバイル端末向けオンラインゲームの売上高が前年同期比13.3%増の408億元(約6902億円)、パソコンなど家庭用端末向けオンラインゲームの売上高が同1%増の110億元(約1861億円)だった。モバイル端末向けの売上高の成長率は、直前の1~3月期より2ポイント低下した。

成長率鈍化の主因は、4~6月期にゲームコンテンツの稼ぎ頭である「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」の売り上げが減少したことだ。その分を「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」、「絶地求生(PUBGモバイル)」、「天涯明月刀(ムーンライト・ブレード)」などの増収で補い切れなかった格好である。

7~9月期のオンライン広告は成長率鈍化へ

オンライン広告事業の4~6月期の売上高は、前年同期比23%増の228億元(約3857億円)だった。しかしここにきて、大口顧客だった「K12(幼稚園児から高校生)」向けのオンライン教育サービスの広告出稿が(政府の教育改革政策の影響を受けて)低迷しており、今後はその影響が避けられない状況だ。

本記事は「財新」の提供記事です

(訳注:中国政府は2021年7月末、子供たちへの詰め込み教育を是正するため、学校の宿題量の制限や、学習塾の新規開設禁止・非営利化などの教育改革政策を発表。オンライン教育業界では事業縮小や人員整理が相次いでいる)

テンセントのCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームス・ミッチェル氏は決算説明会で、オンライン教育業界の顧客の減少に加えて、(閲覧中の画面に飛び出すように表示される)ポップアップ広告に対する規制なども影響し、7~9月期のオンライン広告事業の成長率は鈍化するという見通しを示した。

アナリストたちは、中国政府の個人情報保護規制の厳格化やユーザーデータの使用制限が、テンセントの広告事業に与える影響にも注目している。それに関して同社総裁(社長に相当)の劉熾平氏は、「ユーザーデータの使用とプライバシーの保護には慎重に対応しており、(業績への)影響は比較的小さい」と述べた。

(財新記者:銭童、張若曦)
※原文の配信は8月19日

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