Buddyが大ヒット「光岡自動車」はどんな企業か ミツオカの本拠地「富山」で製作過程を見た

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一方、光岡自動車の場合、完成済みのベース車があるため、最初に「分解工程」を行い、溶接により車体形状を変える「ボディ工程」「塗装工程」と、バンパーなど樹脂製品の「製造工程」があり、「最終組み立て工程」、そして検査工程となる。

Buddyをはじめとしたファッションカーは、「走る・曲がる・止まる、というクルマの基本構造はまったく変更しない」(田林さん)ことを前提として、外観と内装をカスタマイズするクルマ造りを徹底している。

また、乗員保護という安全性の観点から、ピラーやドアパネルなどの車体の主要骨格部位には手を加えない。

マツダ「ロードスター」がベースの「ロックスター」。よく見ればウインドウフレームやドアはベース車両のままであることがわかる(写真:光岡自動車)

組み付ける部品の製造は、自動車メーカーとも取引がある大手自動車部品メーカーに依頼するケースがほとんどだという。

最終組み立て工程では、大手メーカーのようなベルトコンベア方式ではないが、職人1人が1台を組み上げるのではなく、作業内容ごとに担当が振り分けられている。

現在の生産能力は、モデルに限らず工場全体として日当たり1.5~2台という少量生産だ。そうした生産体制の中で、田林さんは「Buddyが、まさか2年待ちになるほどの受注になるとは、正直驚いた」とBuddy人気の凄さを表現した。

そのうえで、Buddyの生産台数を当初予定から倍増する方法については「職人の数と設備の配置は大きく変えず、これまで手作業で製作してきた部品を、金型をおこして量産するなど、作業の流れを修正して対応する。生産の外部委託はしない。そもそも、Buddyは(作業に時間を要する)ボディ工程がない(ので増産に対応しやすい)」と説明する。

現場で感じた素朴な疑問

製造現場を見て、まさに1台ずつ丁寧に手作りしていることを実感した。また、それと同時に、改めて“基本的な疑問”を持ったため、後日、光岡自動車に質問表を送り回答を文書で求めた。まずは、車検証に記載される「型式」についてだ。

Buddyは、ベース車両であるRAV4の型式のまま。しかし、マツダ「ロードスター」をベースとする「ロックスター」は、「5BA-ND5RC改」と型式の最後に“改”がつく。

そのほか、過去に「ゼロワン」「ゼロワンクラシックタイプF」「大蛇(オロチ)」も、光岡自動車が型式認定を経て独自に型式を取得しており、現在のラインナップでは、小型電動車の「ライクT3」も独自の型式を取得している。

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