「今の株価はバブルだ」という人ほど損しやすいワケ 株が上がる理由は「買う人」が多いから?

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このようにして買いたいと思っている人がみんな買ってしまうと大体その時点が天井になることが多いのです。なぜなら買いたい人がみんな買ってしまったら潜在的な「買いたいパワー」はなくなってしまいますから、あとはもう下がるしかないからです。

結局、投資で必要なこととは?

ところが面白いことにみんなが買ってしまうと弱気を言う人は誰もいなくなり、むしろ強気の見通しが増えてきます。心理学では「保有効果」といって、人間は自分の持っているものを高く評価するクセがあります。したがって株を買った人ほど、自分が株を持っていることから希望的観測で強気になるからです。でもこういう時こそむしろ高値を警戒すべき時なのです。株式市場におけるバブルというのはこのようにして形成されていくのです。

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幸いなことに、昔に比べると世の中の投資家がどういう心理状況になっているか、つまり潜在的な「買いたいパワー」がどれぐらいあるかはわかりやすくなってきています。

なぜならSNSやブログといった、個人が自分の意見や見通しを発信できるツールが増えてきているからです。

プロの投資家とは異なり素人の個人投資家はそういったツールを活用して発言するときは、前述の「買いたい弱気」、あるいは逆に「売りたい強気」といった非常にわかりやすい言動になることが多いので、市場の位置を判断するときにはいくらか参考になるような気がします。

ただ、そうした声の多くは相場にとってはノイズにすぎませんから、あまり必要以上に気にすることはないでしょう。単にマーケットの状況を判断するときの1つのヒントとして参考にする程度で十分です。投資でいちばん大事なこと、それは自分の頭で考えて判断することだからです。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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