客の懐の中で進化を追う、「超純水」はサービス業だ《戦うNo.1技術》

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 超純水製造のプロセスを見てみよう(下図)。工程は前処理システム、1次純水システム、2次純水(サブ)システムの三つに分かれ、幾重もの“関所”を通ることで水の純度が高められていく。

心臓部といえるのがサブシステム。ここは紫外線酸化装置やUF(限外濾過膜)装置など、各社が最新技術にしのぎを削るホットな領域だ。特に重要なのが、システムの構成要素である、樹脂と膜の高機能化の部分だが、ここでも栗田は“顧客との一体化”をフルに生かしている。


 昨年4月、静岡に次世代クラスの超純水向け樹脂・膜精製の専門工場を稼働、最先端の0・1ppt以下の純度の出荷時性能保証を世界で初めて実現した。ここで注目すべきは、ウエハ表面の分析ができるなど、半導体の製造プロセスまでシミュレーションが可能な、疑似半導体工場になっていることだ。ここまでしないと「半導体製造の最先端のノウハウや課題を共有することができない」と開発本部の森田氏は話す。

環境対応へ強まる要望 「技術総動員」に競争力

顧客の要求は純度だけではない。「ここ数年、製造プロセスでの表面処理に改善要求が急増している」(森田氏)という。工程における薬液使用量の削減は、環境負荷低減とコスト削減両面から求められている。

昨年末、半導体製造プロセスにおけるレジスト(半導体の回路形成時に使用する樹脂)剥離工程向け電解硫酸製造装置を開発、1号機を米国半導体メーカーに納入した。従来、レジスト剥離には硫酸と過酸化水素水の混合溶液が使用されていたが、この装置ではダイヤモンド製の電極を用いて硫酸の電気分解を行う。剥離効果を高めながら、薬液使用量は大幅削減が達成できた。

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