日本のワクチン支援の裏で政争が起きていた台湾 中国製ワクチンを入れたい野党が政権を攻撃していた!

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中国製ワクチンを是が非でも台湾に入れたい国民党関係者にとって、このまま国産ワクチンが市場に出れば輸入の大義を失う。時は一刻を争う、ワクチンが少ない今こそが勝負だ。こうして今度は国産ワクチンへのネガティブキャンペーンが始まる。「政権内にワクチンで一儲けしようとする輩がいる」「インサイダー取引の疑いあり」と批判し、最終的に感染拡大と呼応するように「ワクチンよこせ」の大合唱に続くのだった。

しかし、かけ声だけでは状況は打開できないと見るや、国民党は地方自治体の首長や個人・団体の購買輸入を促し始めた。さすがに「善意」に基づく義挙には、政府もぞんざいに扱うわけにはいかない。台湾CDCはワクチン提供に当たってはどんな書類が必要で、ワクチンがどんな状態であるべきかを丁寧に説明していた。

ところが、どれも書類に不備があったり現物がないなど、一つとして実現には至っていない。ただでさえ、国民の切迫した心情を逆なでするような状況を作り出してしまったのだ。メイド・イン・チャイナへの品質不信に加え、ニセモノが横行するかもしれない。同党へのあきれが蔓延していった。

「台湾製ワクチンを打ちたい」が6~7割

「中国製ワクチンを受け入れよ」という声は聞こえても、「中国製ワクチンを打とう」という声は聞こえない。これがすべてを物語っていると言える。ちなみに、台湾製ワクチンと非中国の外国製ワクチンを打ちたい人の数は半々から6~7割対3~4割、後者は国民党を支持する層だと言われている。

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