今の起業家は松下さんや盛田さんに似ている 田原総一朗が目にした、スタートアップの最前線

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――ただ、ソニーもパナソニックも近年、経営危機に陥りました。

ソニーについては、出井伸之氏が社長の時代、マスコミにウケすぎたのが凋落の原因ではないか。マスコミにもてはやされることは怖い。出井氏は「複雑系の経営」などと難解な言葉を並べて、社員も何のことかわからなくなってしまったのではないか。そこでソニーがどこで勝負したかというと、値段で勝負した。つまり新しいことをしなくなった。それが凋落の原因だと感じている。

孫正義社長が、田原氏に語ったこと

――今の起業家に対して、ネガティブな見方をする人も少なくありません。

マスコミには、ネガティブな見方をすることが良心的だと思っている人もまだ多い。最近では集団的自衛権に対してのスタンスがそうだ。ただ、ネガティブ情報がウケる時代は終わったと思う。高度成長の頃はネガティブ情報がウケた。みんながネガティブ情報を見たり聞いたりする余裕があった。今はそうした余裕がなくなっている。

――田原さんが、将来的に注目しているビジネスはありますか。

たくさんある。「日本の成長は終わった」と言う人も多いけど、それは違う。古い産業が成長しないだけだ。ネットなどの新しい世界では、今も世界がどんどん広がっていると取材を通して実感した。

注目分野の一つはロボットだ。3年前にソフトバンクの孫正義社長がこう私に言っていた。「携帯電話の先はしれている。田原さん、これからはロボットの時代だ」と。実際に先日、ソフトバンクは新型ロボット発売を発表した。

あのロボットの特徴は、接客ロボットということだ。今までのロボットは作業用ロボットだった。だから単純労働や力の要る作業がメインだった。しかし、これからのロボットは、人間の相談相手になるものだと思う。

ロボットの記憶力は、人間とはケタ違いだ。あと、非常に理論的に物事を判断できる。ロボットが人間の相棒になる。そういう新しい世界が近く訪れるだろう。

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