北海道「花の島」礼文島の短い夏を路線バスで巡る シーズン到来!さいはての絶景と「海の恵み」

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キトウスを11時08分に出るスコトン行きのバスに乗車する。礼文島内の宗谷バスは、香深の市街地を除いて自由乗降制なので、運転士に「漁協の食堂まで」とお願いする。

礼文岳の登山口にあたる内路バス停で若い女性2人が降り、シニア世代の女性5人が乗り込んでくる。彼女たちもまた、礼文岳を制覇してきたようである。礼文高校を見上げる高校前バス停を通過すると、まもなく内陸に入る道道を外れ、海岸の上泊と高山の集落を経由する。そして金田ノ岬の先端で、バスは停まった。

目の前に「あとい」の看板を掲げる漁協直営の小さな食堂がある。ウニ丼を食べに来たのだけれど、写真入りのメニューを見るうち、彩りが鮮やかな「海鮮丼」に惹かれて注文する。丼とはいいながら、ウニ、イクラ、ボタンエビ、ホタテ、タコという五つのネタが、ご飯とは別盛りで出されてくる。

彩り鮮やかな「海鮮丼」(写真:『シニア バス旅のすすめ』より)

ウニはもちろん、旬を迎えたボタンエビの濃厚な甘みもたまらない。卓上に置かれた昆布醬油が、ウニやボタンエビの甘さをさらに引き出してくれる。

昆布はウニの餌であり、道北の良質な昆布がウニを美味しくしているのだと聞いたが、この卓上でも、昆布はウニの美味しさを演出する名脇役だった。

短い夏を彩る高山植物と豊かな自然

スコトンで折り返してきたバスを12時過ぎに手を振って停め、先ほど来た道を10分ほど南へと進む。今度は上泊集落の先、道道との交差点で降ろしてもらう。緩い上り坂の道道を歩くこと約20分。山小屋風の「高山植物園」の受付棟にたどりつく。

利尻富士を臨む(写真:『シニア バス旅のすすめ』より)

受付棟には、無菌培養された鉢植えのレブンアツモリソウ。透明感のあるクリーム色の花びらが美しい。

約50種、2万本の高山植物が生育する園内では、色とりどりの花が短い夏を謳歌するように咲き競っている。本州では2000メートル級の高山でしか見られない植物が、礼文島では海抜0メートルの土地にも根づいているそうだ。植物園から見渡す緑の草原、青い海、そして利尻富士が素晴らしかった。

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