ジャガーを手放してわかった昨今の中古車事情 1年7000kmも走ったのに30万円高の値がついた

拡大
縮小

その場で最も高かった人に売るのではなく、あとで連絡することにさせてくれと頼んだのは、他の業者が立ち去ったあとで値下げを要求するような業者だったり、買取後の名義変更がされず税金や駐車違反の処理が問題になったりするケースがあると聞いたからだ。

最高値をつけた会社はプロスポーツ選手や海外流通に独自のルートを持っているらしく、査定した営業マン自身も元プロスポーツ選手で、クルマが好きでこの業界に入ってきたという。支払い条件を確認すると、現場で提示した金額を振込ではなく現金で車両と交換してくれるというので、254万円を提示したこの業者に売ることを決めた。

1年前に友人が別のディーラーに査定された下取り金額より30万円近く高い。この1年で走行距離は7000kmも増えたというのに。しかも当て逃げされたリアフェンダーが削られたままだというのに。

知名度で勝負できないから高く買い取って早く売る

「僕らのような業者は、知名度で勝負することができませんから、高く買い取って早く売る。結局利益がほとんど出ないこともありますが、買わないことには商売になりませんから」

売却完了後、中古車売却ポータルからの連絡が定期的に来るようにはなった。しかしそれ以外にスパム的メールが極端に増えたわけではない。1年間もジャガーを走らせて、むしろ年利5%で儲かってしまったわけだが、そもそも積極的に売りたかったのではないから、街中で新しめのジャガーを見かけるとちょっと切なくなるのも事実だ。

田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、THE EV TIMES編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。EVニュースサイト「THE EV TIMES」編集長および、モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT