松山効果だけじゃない、ゴルフ「大活況」のわけ グリップ不足で生産がブームに追いつかない

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では、ゴルフクラブの逼迫はいつまで続くのか。

「3月末に発注した商品は2022年1月に到着予定だと言われた。この状況は2021年内は続く」

ゴルフプライドの輸入代理店である日本フェィウィックの里見孝人ゴルフ営業部部長は、こうした状況の長期化を覚悟する。アメリカにあるゴルフプライドの運営会社に商品を注文すると、以前であれば日本への到着に要する期間は約3カ月だったが、それが大幅に延びた。「2020年12月ごろから、『こんなの見たことがない』と思うくらい倉庫には在庫がない」という。

秋にかけてゴルフ用品はますます逼迫

ゴルフ用品の需要も強いまま推移しそうだ。ゴルフ用品メーカー「タイトリスト」の池田智満ゴルフクラブ事業本部部長は、「世界的に続いている今のゴルフニーズからいくと、(強い需要が)しばらく続く」と見込む。

新品ゴルフ用品販売の「ゴルフ5」の店頭には、新商品のポスターが飾られている(記者撮影)

「とにかく日本に商品が入ってこないので、秋にかけて一層逼迫度が強まる」と予想するのは、ゴルフパートナーの川﨑康史・営業推進本部本部長。新品の供給が思うように増やせない一方で、中古ゴルフ用品販売トップ企業として期待するのが、中古品市場の活性化だ。川﨑氏は「中古品はいま、過去10年間で1番売れているが、今後は新品市場よりも活況を呈する」と期待を込める。

ゴルフ市場で続く混乱はしばらく続きそうだが、各社は突然訪れたブームの恩恵を刈り取ろうと必死になっている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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