4月に猛烈台風が生まれた今年、警戒すべきこと 発信始まる「線状降水帯に関する情報」に注目

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ここまで発達した理由の1つは、海面水温の高さにあると考察できます。

4月17日の海面水温(写真:気象庁HP)

こちらは4月17日の海面水温です。台風が発達する海面水温の目安は約27℃以上ですが、台風が進んでいた海域は約29〜30℃でした。赤道に近いので、1年を通して海面水温が高い海域ではあるものの、平年より1℃ほど高い状況です。

水深100メートル付近でも約27℃あったため、台風によって海水がかき混ぜられても台風が発達するくらい海面水温が高かったことが、発達が進んだ一因になったのでしょう。

2020年は12年ぶりに台風上陸ゼロ

昨年は、台風が1つも日本に上陸しませんでした。

台風が日本に上陸しなかった年は、統計史上5回あります。2000年以降では2000年と2008年、昨年を含めて3回です。

ただ、昨年9月には台風10号が大型で非常に強い勢力で日本に上陸するおそれがありました。過去最強クラスの台風に対して、九州を中心に特別警報が発表される可能性もあるとして厳重な警戒が呼びかけられました。

このときは日本付近の海面水温が高かったため、日本付近まで発達しながら進んで、上陸することが予想されたのです。

台風10号が接近した九州では、大規模な停電が発生。野母崎(長崎県)で観測史上1位の最大瞬間風速59.4メートル/秒、南郷(宮崎県)では4日間で599.0ミリと9月ひと月分を超える量が観測されるなど記録的な暴風や大雨となりました。

しかし、数日前に台風9号が似たコースを進んだことで海がかき混ぜられて海面水温が下がっていたことにより、台風10号は予想ほど発達せず、特別警報が出ることはありませんでした。上陸した朝鮮半島では甚大な被害があったため、九州に上陸していたら大きな災害となったかもしれません。

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