Uber→WeWork立ち上げた39歳が選んだ「次」 日本の大企業と世界のベンチャーをつなげたい

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日本は課題先進国と言われています。日本特有の課題、少子高齢化、ウェルビーイングといったところに大きなチャンスがあるように感じます。

例えばスマートスキャンは予防医療に特化し、IT化を徹底的に行うことで低価格で利用できる脳ドック健診サービスを提供しています。やはり日本人ならではのそういった視点や感覚が重要だと思いますし、日本人の勤勉さもいい事業につながります。スクラムグループとしての日本企業への出資は始めてまだ1、2年で10社ほどですが、もっと増やしていきたいですね。

地道にコールドメールを送る、それが起業

――大企業とスタートアップ、海外と日本、高橋さんはすべて経験しています。その知見は生かせそうですか。

BtoC向けのサービスであるウーバー、BtoB向けのウィーワーク、それぞれ成長の仕方は違います。私は両方経験できているので、そのプレイブックは描けています。今回のポジションではいろいろな企業をつなぐ仕事と、インキュベーションという形で中に入っていって事業を立ち上げる仕事、両方ができる。これまでの経験がうまく生かせるように思います。

――高橋さんとしてもスクラムスタジオは大きなチャレンジですね。

そうですね。ウーバーでも、ウィーワークでもいろいろなユニークな経験はできましたので、一種のパワーアップができたんじゃないかな、と感じる部分もあります。

ただそれ以前に、私は海外で育って、日本とアメリカとヨーロッパを行き来していましたので、懸け橋になりたいという思いがありますし、最終的には私は母国である日本をもっと活性化したいとも強く思っています。ウーバーに入ったのも実はそういうきっかけでした。

日本でウーバーを立ち上げた当時はまだ3人で、パートナーになってくれそうな企業の電話番号を調べて、「ウーバー? 誰ですか?」と言われながらもアポを取っていました。

ウィーワークのときも同じ。事業を立ち上げるというのは、そこにいるメンバーとそのメンバーが知っている人以外は知らない。なので、知っている人たちにひたすらコンタクトをして、その先というのは紹介してもらうか、もうダイレクトに行くしかない。だから、もうその繰り返しですよね。

ウーバーとかウィーワークと聞くと、資金調達の話が取り上げられがちなので、いろいろなものが自動的にできているようなイメージがわくかもしれませんが。特に日本でゼロからやるというのは、かなりエネルギーが必要なんです。当時、スクラムスタジオのような母体があれば、もっと効率的にいろいろな会社と提携や協業の話につながっただろうなと思います。

今また当時と同じように、また自分からコールドメールを送り、ピッチをしています。自分のアイデアや思いを伝えて「これいいね」と言っていただき、仲間を増やしていく。たぶん起業ってそういうものだと思いますし、私はそれが好きなんです。

安楽 由紀子 フリーランスライター

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あんらく ゆきこ / Yukiko Anraku

1973年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーに。芸能人、スポーツ選手、企業家へのインタビューを多数行う。

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