中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が高精度地図の商用化に動き始めた。上海モーターショー開催中の4月18日、同社でスマートカー・クラウドサービス製品部ゼネラル・マネジャーを務める廖振欽氏は、2021年中に中国全土の高速道路および北京・上海・広州・深圳の一般道の高精度地図の商用化を実現し、天津・重慶・成都・杭州のデータも地図に追加することを発表した。2022年には20都市以上をカバーする予定だという。
高精度地図は自動運転にとって不可欠だ。自動運転ソリューションを提供する企業は、車両の位置情報と周辺情報を取得するのに高精度地図を用いるが、地図の入手方法は地図サービス会社の既製品を使用する場合と、自社で作成する場合とで、企業によって対応が分かれる。また、高精度地図のデータ収集・編集加工・作成には関連する当局の認可が要求される。
近年、高精度地図の市場には異業種からの参入が相次いでいる。2次元のナビゲーションマップが広く使われていた頃には、地図サービスの百度地図、アリババ傘下でオンライン地図大手の高徳地図、地図・位置情報サービス大手の北京四維図新科技(ネーブインフォー)、車載ナビゲーション用地図サービス大手の易図通科技(EMG)などが一定のシェアを占めていた。
高精度地図が搭載されたEVも発売
だが自動運転技術の研究開発が盛んになってくると、ネット配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)、生活関連サービス大手の美団点評、ファーウェイなどが相次いで当局の認可を申請し、高精度地図を作成するようになった。
ファーウェイのスマート自動車ソリューション事業のトップを務める王軍氏は「ファーウェイは2019年から(パートナーとなる)地図サービス企業を探したが、われわれの要求に合致する相手は見つからなかった。そこで同年7月に高精度地図が作成できる認可を取得した。さらには地図作成用のハードウェアのコストを引き下げるために、センサーなどのデータ収集装置の開発にも着手した」と参入当時の状況を振り返った。
4月17日には、ファーウェイが開発したOS(基本ソフト)の鴻蒙(ホンモン)を搭載したEV(電気自動車)「極狐阿爾法S(アークフォックスアルファーS)ファーウェイ・バージョン」がお披露目された。基本版は38万8900元(約650万円)、ハイグレード版は42万9900元(約720万円)を予定している。基本版は高速道路における自動運転が可能で、ハイグレード版はさらに都市部の一般道での自動運転ができるという。2車種ともに搭載される高精度地図はファーウェイ自身が製作した。
自動運転ソリューションの商用化を実現するには、地図のカバー範囲を中国全土にある大都市の一般道まで広げなくてはならない。そうすると、高精度地図のデータは記憶量が膨大になり、つねに更新を迫られる。廖氏は「更新頻度とコストが今後の大きな課題だ」と語った。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は4月19日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら