日本とはケタ違い、米国「貨物列車」のスケール 風力発電の翼から航空機の胴体まで輸送する

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ピストン輸送していた列車が、2014年7月、積載のフラット・カーを含む貨物列車の脱線事故により胴体をモンタナ州のクラーク・フォーク川に落下させる事故が起きた。

輸送方法は、ブレード輸送とほぼ同じであるが、幅方向は対向列車との側面車間距離を保つための運行スケジュールが設定されている。

航空機の胴体を運ぶ貨物列車。その後方にも航空機の胴体が見える(写真:中村彰宏)
後部に連結されている一般貨車は曲線部で停止している(写真:中村彰宏)

すれ違いは、通常3線の直線部で行われ、双方の列車は中線を挟んで外側の線路が使用される。

対向列車待ちの状態で機体を載せたフラット・カーは線路の直線部にあるが、後部に連結されている一般貨車は曲線部で停止している。

機体は、機体断面を覆うように作られた専用治具でフラット・カーに固定される。この専用治具の高さは、牽引機関車の高さより幾分高く製作されている。冬季のロッキー山脈越えのトンネル内のツララと上部の障害物による機体への損傷防止を図るためである。

ロケット部品の運搬の様子

最後は、荷物の内部を見ることは不可能であるが、西部からフロリダ州に運搬されるロケット部品の運搬の様子である。

風のため引き裂かれたシート。このため、内部の保護用鉄製の保護カバーが露見した(写真:T・ウエイト)
ロケット搬送用フラット・カー。右側線路に障害物よけに改造された車両が留置されている(写真:T・ウエイト)

撮影時、たまたま強風のためシートが引き裂かれた。このため、内部の保護用鉄製の保護カバーが露見した。この鉄製カバーには点検用の扉が付いている。

ロケット搬送用フラット・カーが走行する場合は、障害物よけに改造された車両がフラット・カーの前部に連結される。冬場はトンネル内のツララ落としにも効果がある。

今日では、貨物を、早く・安全に 客先に届けるために鉄道輸送が多様化されている。

中村 彰宏 鉄道フリーライター

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なかむら あきひろ / Akihiro Nakamura

大手非鉄金属会社で製錬所、および海外をふくむ複数の粉末冶金工場の設計・建設に従事。学生時代は旧国鉄部内誌の口絵に海外の鉄道車両を紹介。主にアメリカの鉄道貨物輸送に傾注・調査。現在は海外誌に国内新製車両等の紹介記事を提供している。

 

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