英語コースと英語教育が
世界で活躍する研究者を養成
上智大学理工学部
2020年に留学生30万人を目指す文部科学省の「国際化拠点整備事業(グローバル30)」で13大学の一つに選ばれている上智大学は、昨年の100周年を機に、さらなる国際化対応能力の向上の取り組みを進めている。その学内でも、最も積極的にグローバル教育を推進している学部の一つが理工学部だ。今春、理工学部長に就任した築地徹浩教授は「グローバルな視点から科学技術の発展に貢献する、次世代の研究・技術者を育てたい」と意気込んでいる。
理工学部は、12年秋学期から、英語で学位取得できる英語コースを開設した。物質生命理工学科のグリーンサイエンスコースと、機能創造理工学科のグリーンエンジニアリングコース(定員計30)で、どちらも環境を切り口とする。翌13年秋には、大学院の理工学研究科を横断的にカバーする英語コース「グリーンサイエンス・エンジニアリング領域」も設置。学部と大学院の両方で、講義、指導を含むすべての教育を英語で行う態勢を整えた。築地学部長は「アメリカ・インドネシアなど世界各国から留学生が集まっています。卒業研究などでは日本語コースの学生と一緒になる場面もあり、交流による反応から生まれる変化が楽しみ」と期待する。
一般の日本人学生に対しては「科学技術英語」の授業を開設している。これは文科省の現代的教育ニーズ取組支援プログラムで05年から導入されたカリキュラムで、科学技術分野の専門用語や表現に慣れるとともに、国際学会で研究発表するのに必要な英語のプレゼンテーション能力などを習得。また、実験や演習の授業の単位が多く、長期留学が難しい理工学部生が、3~4週間で充実した留学体験ができるようにデザインされた、理工系特化型の海外短期英語研修を夏休みと春休みに実施。学生の目を世界に向けている。
グローバル社会に対応
女性研究者支援も充実
文科省の女性研究者支援モデル育成事業で最高ランクの評価を受けた「グローバル社会に対応する女性研究者支援プロジェクト」は、グローバルに活躍する女性研究者の増加を狙う。世界的に活躍する女性研究者らを招いて、講演や個別の相談・アドバイスをしてもらうグローバルメンター制度のほか、英語での学術成果発信支援、出産育児期の研究支援員配置やワークライフバランスの推進など、物心両面の支援を提供。次世代の女性研究者を目指す女子高校生らを励ます出張講義なども行う。
築地学部長は「学部創立50周年(2012年)を機に設立された理工学部の同窓会との協力関係や、理工融合を強化したい」と述べ、大学として定評のあるグローバル人材育成、女性研究者支援と合わせ、さらに重層的な取り組みを目指している。