頭のいい人とさほどでもない人を分ける決定打 大切なのは化学反応、抽象化する頭の使い方だ

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そう考えると、完全にオリジナルな言葉や表現というものはないとわかります。

例えば、アインシュタインにしても、ピカソにしても、独創的で天才だという扱われ方をしていますが、けっしてものごとをゼロからつくりあげたわけではありません。頭のトレーニングをきちんとこなすことができれば、誰でも思いがけないものをつくり出すことが可能なのです。

とくに、これだけ情報が流れている現代では、新しいものをつくり出すベースになる情報は、世の中に満ちあふれています。新しい組み合わせを見つけ出せるチャンスは広がっているのです。

抽象化する力を高めて、頭の中で化学反応を起こす

それでは、新しい組み合わせは、ただ組み合わせてみればよいのでしょうか。

組み合わせる、くっつけるといっても、単に別々のものをくっつけてみるだけでは、新たな発見や進展は見えてきそうにありません。大事なのは、そこで化学反応を起こすことです。

では、化学反応を起こすにはどうすればよいのでしょうか。

そこで大切になるのが、抽象化する頭の使い方です。この抽象化の力を高めて、まったく異なっているように見える情報を結びつけていくことが有効になります。

そのためにどんな頭の使い方をすればよいのか具体的に考えてみましょう。

歴史の事例を見ていくと、気がはやって不確かな情報に飛びついた戦国武将が、重要な戦いに負けたというような話が出てきます。これを現代の自分の置かれた状況への教訓にするには、このエピソードを簡単な言葉で表して、話を抽象化して、頭の中に入れておくことが有効です。これは、基本的には思考の土台をつくるために、情報を抽象化する作業ですが、さらに発展させていくことを考えてみましょう。

このエピソードには、もともとさまざまなデータが詰まっています。その戦国武将の名前はもちろんのこと、相手の武将の名前、戦いのあった日時や場所、不確かな情報とは何か、どれほどの負けっぷりだったのか、等々です。

もし、このエピソードを自分のビジネス上での判断に役立てようとすると、このエピソードをそのまま使っても意味がありません。そこで、抽象化が必要になります。

当たり前ですが、武将の名前は誰でもよく、そもそも武将である必要もありません。日付も場所も不要です。そして最終的に、「トップが、あやふやな情報をもとに早まった決定をするのは失敗のもと」という骨組みだけの情報に置き換わるわけです。この作業が抽象化であり、情報の骨組み化です。

次ページこの骨組みに身近なデータを肉付けしていく
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