観客減に苦しむスポーツ界が見誤っている本質 コロナ禍で配信視聴者を増やす方向は正しいか

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学生スポーツも徹底した感染対策を行い、部活、リーグ戦などが行われている。もちろん、感染者が出れば試合が延期になってしまうが、それでもかなり戻り始めている。

季節が巡るごとに当たり前に開催されていた学生スポーツのリーグ戦がいざできなくなると、それにほぼすべてを懸けてきた学生にとってはかなり深刻な問題だ。そんな学生の気持ちを理解した大学や連盟の関係者、そして学生たち自身の努力と情熱で多くの競技が何とか開催に漕ぎつけることができたようだ。

健康への意識が高まり、体を動かす人が増えた

Doスポーツは学校の施設や公園、民間のスポーツクラブなどで行われることがほとんどで、主に自分の判断を基に行われる。

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コロナ禍の現状において、新たなDoスポーツプレーヤーが生まれたり、この機会に健康への意識が高まり、再び走り始めたり、体を動かしたりする人たちが増えてきたことは1つのポジティブな変化だ。

一方、Seeスポーツに目を向けると、その多くが自治体の所有する施設で行われる。したがって、公共性の観点から利用に関してさまざまな制約がかかることはやむをえない。

だが、満員のスタジアムで声を出し一体感を楽しむのではなく、本当にその競技が好きなファンが、限られた条件の下であっても、純粋に競技を見に行く、そんな楽しみ方を望む根強いファンも一定数いることが認識できた。

このようにスポーツに対する需要のベースの状況がわかった以上、スポーツの発展を止めないための対策は打てるはずだ。もしかしたら今までのスポーツの在り方、スポーツビジネスのやり方を大きく変える必要があるかもしれない。変化させることさえ怖れなければ、現在、視界不良に陥っているスポーツの未来が、少しずつだが見えてくるはずだ。

森本 美行 fangate代表

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もりもと みゆき / Miyuki Morimoto

1961年生まれ。1992年米ボストン大学経営大学院でMBAを取得。2000年米国NASDAQで上場したasiacontent.com日本法人アジアコンテントドットコムジャパンの代表取締役兼CEO。2002年スポーツデータ配信や分析を行うデータスタジアムの代表取締役に就任。2016年には、日本初の野球独立リーグ四国アイランドリーグplusを運営するIBLJの代表取締役および日本独立リーグ野球機構の常務理事を務める。現在は、スポーツビジネスコンサルティングを行うfangateの代表取締役を務めるとともに、教育、研究、指導、ビジネスと多岐にわたり、様々な面からスポーツをサポートしている。

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