クラブハウスが「幸福度高めるSNSになる」根拠 多様な「弱いつながりの人」を増やす重要性

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――たまたまその部屋でスピーカーになった方々の雑談から企画が生まれたり、コラボレーションの話が進んだりすることもあります。

イノベーションもそうですよね。くだらないと思うようなアイデアでも何でもオッケー、というポジティブなマインドから、イノベーションが起きると言われています。「これもダメ」「あれもダメ」と決めつけがちな人は、アイデアが広がっていきませんから。

イノベーション思考の人は、「発散思考」と「収束思考」の2つを持ち合わせています。まず1回発散すると、いろんな世界が見えてきて、その中からソリューションを選んで収束する。多くの人は発散せずに効率化、最適化を目指して、狭い世界の中で進めようとします。

特に、コロナ禍のように自宅にばかりいると、物理的にも視野が狭くなってしまいますよね。そういう意味でClubhouseは、雑談を通して発散することもできますし、多様な人たちとの会話で視野を広げるうえでも役に立つと思います。

Clubhouseはいい刺激をもらえる場所

――コロナ禍の孤独でうつになったり、気が滅入りがちなったりする人も、世界が狭くなっていることが原因なのかもしれません。

それはあると思います。視野が広い人は幸せ、視野が狭い人は不幸せで、うつ状態は特に視野が狭い状態だと言われています。

狭い部屋にずっとひとりぼっちでいると、「自分は何の役に立っているんだろう」と思いがちですが、いろんな人と雑談していると「意外と自分も役に立つことがあるかも」「世の中面白いこともあるもんだな」と気がつくことがありますよね。

Clubhouseは著名人や芸能人とも雑談できるチャンスもあるので、いい刺激をもらえる場所なのです。

――Twitter(ツイッター)の世界には、ツイートを見るだけの人がたくさんいます。Clubhouseも、モデレーターやスピーカーではない人は聞き役ですが、発信者と受信者の幸福度の違いはありますか。

人間は主体的な人ほど幸せなんです。未発表ですが、私の研究で、受動的に情報ばかり見ていると幸福度が低くなるという結果も出ています。それだけSNSでも日常生活でも、自ら発信することが大事なので、声だけで気軽に話しやすいClubhouseは、自宅でリラックスしておしゃべりできるところも、「ちょうどほしかったものが出てきたな」と思いました。

私はモデレーターもスピーカーもやったことがありますが、自分が司会や進行役を務めると、世界をコントロールするような体験ができます。それは成長にもつながりますし、達成感も味わえるので、せっかくClubhouseを使うなら話し手になったほうがいいと思います。

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