「10分1000円」をどう活かすか? 理美容業界の未来を考える《それゆけ!カナモリさん》

✎ 1〜 ✎ 34 ✎ 35 ✎ 36 ✎ 最新
拡大
縮小
「10分1000円」をどう活かすか? 理美容業界の未来を考える《それゆけ!カナモリさん》

 

■QBハウスの成功要因とは

 2010年4月11日付日経MJ3面コラム「底流を読む」に「成熟市場の生き抜き方・運営の工夫で成長軌道に」と題してカラオケ店「ヴァリック」と、「キュービーネット」の事例が紹介されていた。キュービーネットは1000円理容室「QBハウス」を展開している。

記事には以下のような記載があった。

理美容の業界には「10分1000円の法則」がある。10分あたりの料金設定の目安であり、このラインを下回ればそれだけ価格競争が激しいことになる

 つまり、QBハウスは記事にあるとおり、割安感を前面に出してはいるが、料金設定はこの法則に則っているのである。旧来の理容店がカットやシャンプー、ひげそり、それに軽妙な会話までをパッケージで売っていたものを、QBハウスはカットだけ売ることにした。施術時間を短くし、見た目の料金を安くした。無理して経費を絞り込んだわけではないという。まさしくこれぞ、成熟市場、かつ、低成長経済下における「引き算の勝利の法則」であるといえる。

QBハウスは「既存業界を圧迫する価格破壊者」のように指弾されているが、全くの言いがかりもいいところであるわけだ。その点は、コミュニケーション研究所の竹林篤実氏が同社発行のメルマガで解説している。

「4月12日の数字:時間単価10分1000円の勝負/理美容業界の法則」

(QBハウスが)条例改正によって事業存続の危機に追い込まれているのだ。要するに1000円散髪には洗髪台がないから不潔である、よって洗髪台の設置を条例によって義務づけよ、という流れが各地で起こっている。ユーザー無視、何とも理不尽ないちゃもんだと思う、との指摘は正にその通りだ。

むしろ、無謀な戦いを挑んでいるのは既存業者のように思える。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT