英国「メーガン妃嫌い」に日本人が学ぶべき教訓 異文化になじむのはそう簡単なことではない

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まず前提としてアメリカとイギリスは日本人が考えるより、かなり文化は違います。アメリカ人は表裏がなく、オープンでダイレクトに表現しますが、イギリス人はいつも遠回しでなかなか本音を言いません。

メーガン妃の経験をたどってみると、カルチャーショックの第1段階はハネムーン期で、まさに彼女はシンデレラのように、多くの女性が憧れる王子様と結婚し、陶酔した段階でした。一般的なケースで考えると、ある企業の海外駐在員が現地に赴任したときに、最初の1~2週間は観光気分で、すべてが新鮮に映る時期と同じです。

第2段階は、だんだんと英王室の習慣に違和感を覚える時期で、居心地の悪さがストレスになります。駐在員に置き換えて考えると、地下鉄が時間通り来ないとか、買ったばかりの洗濯機が故障し、なかなか修理に来てくれないなど日本の常識で考えられない現実に遭遇する時期です。

自分の常識を横において受け入れるのがポイント

ここを乗り越えるポイントは、自分の常識を横において冷静に異文化を観察し、まずは受け入れることです。そこでもし自分の常識で相手を裁いたりすると、異文化理解は遠ざかります。受け入れれば、自覚しないうちに自分の中でスタイルシフトが起き、何とか適応できるようになるものです。ただ、それがメーガン妃にできたかどうかは疑問です。

第2段階をクリアすると、カルチャーショックは回復期に入ります。これが第3段階です。ところがそのうち「やっぱりこれは納得できない」と当初から持っていた自分の価値観が頭をもたげ、今度は第4段階のさらに厳しいカルチャーショックに陥ります。

この第3段階から第4段階の回復期に転じるのはハードルが高く、駐在員であれば赴任うつ、国際結婚であれば離婚の危機に陥る可能性のある時期です。メーガン妃はその時期に差し掛かっていた可能性があります。

このカルチャーショックのどん底を超えると異文化耐性が身につき、異文化適応力は増すのですが、この試練は手ごわいものです。

私のようにフランス人の妻がいてフランスに住み始めた30年前、そんな知識も異文化耐性もなく、私と同じ状態にあった日本人の駐在員らと「この国はもう滅びの淵に立っている」などと、フランス批判を繰り返し、異文化理解を遠ざけた苦い経験をしました。

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