今ペットを飼って「後悔する人」「しない人」の差 6人に1人が「後悔した」と回答する調査結果も

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たとえば、子犬であれば初日から夜鳴きに悩まされることもあります。慣れない新環境が不安で、飼い主の姿が見えなくなるだけで大きな声で鳴き始めることもあります。飼い主は寝ている暇もありません。

ペットのトラブルは想定外のものが多い(筆者撮影)

また、トイレの場所を覚えるまでは、あちらこちらで粗相をします。柱やテーブルの脚などを噛んで傷だらけにしたり、壁に穴を開けることだってあります。

子猫の場合も、犬同様に環境の変化には敏感です。カーテンに登ってボロボロにしたり、障子や襖を破ることもあります。また、高いところに登って、物を落とすこともあるので、こちらもまた目を離していられません。

飼い始めにはこうした予想外のトラブルがつきものです。もちろん個体差もありますが、これから飼い主になる人は、子犬や子猫はそういうものだという知識と覚悟を持つ必要があります。成犬や成猫でも同様に考えておく必要はあるでしょう。

また、食事や飼育用品、医療、ペット保険などお金もかかります(生涯必要経費は100万円を超えるとも言われています)。思うように外出も旅行も出来なくなります。犬や猫などのペットは生きものですから、飼い主の思い通りにはいきません。ペットを飼うということは、そういう部分も丸ごと受け入れて、家族の一員として共に生きていくということなのです。

まず飼う前に「飼うこと」について考え、学ぶ

前述のとおり、安易に犬や猫などのペットを譲る側にも問題はあります。その「ハードルの低さ」は、今後の課題として取り組む必要があるでしょう。

しかしながら、飼う側も事前に命を預かることについて考えておけば、手放す・捨てるなどの問題は改善していけるのではないでしょうか。それが1つのハードルとなり、自分には「飼える」「飼えない」の判断材料になることでしょう。また、それはペットにつらい思いをさせない、飼い主自身が後悔しないための行為でもあります。

コロナで気持ちが荒む、寂しいからと言って、安易に飼い始めることはおすすめしません。短絡的な判断で飼い始めると、問題も起こりやすく、もしそれが自分の手に余るものであれば、前述したように手放す・捨てるという行為にもつながりかねません。

ペットを捨てるような悲劇は、犯罪であり、不幸しか生みません。もしこれからペットを飼おうと考える人は、ぜひ一度、その重みについて思いを巡らせていただけると幸いです。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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