「新生VAIO」はどんなPCになるのか 「4つのポイント」から大胆に予想

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だが、同社の置かれた立場を考えると、おのずと答えは見えてくる。まず第1のポイントは、登場するVAIOのラインナップ数は少ないということだ。

会社としての規模が小さく、狙う台数も「2015年度に30万~35万台」(関取社長)と少ないため、大量のモデルを用意して大量販売する、というモデルは採れない。赤羽副社長も「商品ラインナップは必要なものだけに絞る」と明言している。関取社長は新生VAIOの経営方針として、「すべてはできない。まず捨てるところを決める」と強調。具体的に捨てるのは、「海外市場」(赤羽氏)であり、同社のビジネスモデルは当然、日本国内向けに支持を得られすい特定の機種だけを作る、というものになる。

製品ラインナップを絞れば、調達するCPUの種類なども減る。インテル製CPUを採用するのは間違いないが、世の中に広まっている半端なものは選べない。インテルが最新のプラットフォームを発表するタイミングに合わせて、そのCPUに最適化したラインナップを作るのがベストだ。だとすれば、インテルが次期プラットフォームの提供を始めると見られている、年末近辺が新機種投入のタイミングと考えるのが自然である。

安いPCからは訣別

第2のポイントは、高付加価値モデルが中心になる、ということだ。台数を追わない以上、低価格モデルに展開することはあり得ない。「PCは道具としての真価が問われ始めてる」(関取社長)、「どうしても欲しい、と思わせるものを作り、価値を認めていただく」(赤羽副社長)という言葉からも、それは裏付けられるだろう。

実際問題、タブレットや低価格パソコンのように、大量の部材を調達して「コストパフォーマンスのよい製品」を作るには、240名で国内市場だけ、という新生VAIOの陣容は小さすぎる。

第3のポイントは一般消費者ではなくビジネス向けを重視する、という姿勢だ。ソニーのPC事業は、他社と異なり、ほとんどが個人向けだった。法人・B2B市場向けは全体の10%に満たない。どれだけ比率を伸ばすかについては明言を避けたが、「従来に比べB2B比率を大きく上げる」(赤羽副社長)という方針もあり、絞ったラインナップの中に「B2Bで求められるモデル」が入るのは間違いない。だがそれは、数を売る低価格モデルではなく、ある程度付加価値を認めてくれる顧客向けの製品になるだろう。

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