田原さん、「科学」で稼いでもいいですか?

田原総一朗×丸幸弘が激論「どうする日本の科学」

 今、日本の科学界が揺らいでいる。STAP細胞発見によって「リケジョの星」などとメディアが持ち上げた小保方氏は、晴れ舞台から一転、現在は、バッシングのただ中にいる。日本が誇るお家芸のひとつ「科学」はいったいどうなってしまったのだろうか?
 科学を身近なものにする小中高校での「出前実験教室」を手掛け、科学・技術ベンチャーへの育成、投資も行うリバネスの丸幸弘代表取締役CEOと、ジャーナリストの田原総一朗が、科学、ビジネス、教育そしてメディアについて幅広く語り合った。
ジャーナリスト田原総一郎氏と、理系ベンチャー経営者丸幸弘氏が、ニッポンの科学について考えます

そもそも科学は「怪しい」もの

田原:丸さんは科学者出身で、現在は科学に関する事業で起業されています。ご著書では自身が経営するリバネスを「怪しい会社」と表現していますが、あれはどういう意味なのですか?

:もちろん、危険な実験をしているとかではありません(笑)。ただ本来、サイエンスって「きっとこうだろう」という仮説を立証していくものなのです。それって、その過程だけ見ると周囲からは何をやっているのかよくわからない「怪しい」ものですよね。

田原:なるほど。

:その「怪しさ」って、科学には欠かせないものだと思うのです。

大学時代、理系の研究室に所属していたのですが、博士課程を修了した先輩が職が見つからず苦しんでいる姿を目の当たりにしました。「研究を仕事にしたい」という情熱はものすごくあるにもかかわらず、です。

研究に大きなおカネがつくのは、国が「きっとうまくいく、役にたつ」と認めたプロジェクトだけ。でも、それは本来の「怪しい」サイエンスの姿からは遠い。

そこで、「科学する場所がないなら、自分で作ってしまおう」と考えて起業したんです。

田原:でも怪しいとおカネはつかないでしょう? どうやって稼いでいるんですか?

:当時、学生だった私が思いついたのが、出前実験教室でした。科学についてはずっと勉強してきた。これを強みとして、当時「理科離れ」も危惧されていた子どもたちに科学を学んでもらうことはビジネスになるんじゃないかと。

「怪しい」領域でどう稼ぐ?

田原:出前実験教室とは、どんなものなのですか?

:リバネスの実験機器や器具を学校に持っていって、研究者出身の社員やトレーニングを受けた大学院生が、子どもたちと一緒に実験を行います。たとえば、私は大学では藻類を研究していて「ミドリムシ」を使った食品生産を事業化したユーグレナ社の立ち上げメンバーでもあります。その知識を生かして、近くの田んぼから新しい藻類を見つけるといった実験を行ったりします。

そういった体験を通じて、科学がぐっと身近なものになるわけです。ちなみに、年間の実験回数は300回を超えます。

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