65歳を超えても「働ける人」「働けない人」の境界 「アーリーリタイア」のためには何が必要か?

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会社員は70歳定年まで働き続けるべきでしょうか、アーリーリタイアをするべきでしょうか。それを判別する「7つのチェックポイント」があります。

1.会社の仕事が充実し、やりがいがあるか
やりがいのある仕事なら70歳まで続けたいですが、つまらない仕事なら一刻も早く退職したいところです。

2.人間関係など職場環境がよく、会社に行くのが楽しいか
職場環境がよく楽しい会社なら、70歳まで無理なく働き続けることができます。

3.体力的に70歳まで働くことができるか
加齢とともに体力が低下します。とくに体力を必要とする職種では、70歳まで働くのは苦痛です。

4.スキル・能力的に70歳まで働くことができるか
学習理解力・発想力・判断力など知力も低下します。技術の変化が早い業種・職種の場合、70歳まで働くのは困難です。

5.老後の必要資金を確保できているか、できそうか
やはり先立つものはお金。老後の必要資金を確保できていないなら、働き続ける必要があります。

6.退職してやりたいことがあるか
趣味など本格的にやりたいことがあるなら、早めに退職したいところです。ただし、副業で取り組むという選択肢もあるので、柔軟に考えるといいでしょう。

7.家族・社会とどう関わっていきたいか
会社を辞めると、家族・社会と向き合う時間が増えます。家族・社会とどういう距離感を保ちたいのかを考えておきます。

「70歳定年制」は重い課題

日本では、労働者が職種を限定せずに入社し、会社の異動命令にしたがって職種や勤務地を変えるメンバーシップ型雇用(=就社)が一般的です。会社の都合で会社員のキャリア(職業経歴)が変わるので、会社員はたいてい「キャリアについてあれこれ悩んでも仕方ない」とキャリアを会社任せにしています。

この会社任せの状況が今、大きく変わろうとしています。転職があらゆる世代で一般的になり、会社員は自分のキャリアが不本意なら簡単にリセットできるようになりました。

今回の70歳定年で、高齢者の働き方が多様化します。さらに将来、メンバーシップ型雇用から欧米で一般的なジョブ型雇用(=就職)に変われば、会社は社員のキャリアの面倒を見る理由がなくなります。いかにキャリアプラン、ライフプランを主体的に考えるか。70歳定年は、日本の会社員に重い課題を突き付けているのです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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