徹夜も上等!結局「猛烈に働く人」が成長できる リクルートがやたら「女性起業家」を輩出する訳

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――それで入ってみたら、どうでしたか。

最初は恒例の名刺獲得キャンペーンです。「来週から飛び込みしてもらうから」と言われて、銀座で3日間「ビル倒し」(雑居ビルの最上階から1階まで、すべての会社を訪問する飛び込み営業)をやって、その後3カ月の新規営業。7月にようやく既存顧客対応をする部署に配属が決まりました。不動産・建築業界の担当です。

私が担当になった会社の中でいちばん大きなところはマンション大手の子会社。私の前任はトップセールスで、挨拶に行ったら「えっ、新人? しかも女子?」と担当者が凍ってました。

その人が「広告のクリエイティブ(デザイン)を変えたい」というので「どんな感じにしましょうか?」と聞くと「ドッカーンみたいな感じ」と。素直なので、制作部門に行って「ドッカーンってやつにしてください」とお願いしました。で、出来上がったものを持っていくと「これじゃない」。そんなことを5回も繰り返していると、制作さんも「お前、お客さんからちゃんとヒアリングしてるのか」と怒り出す。

結局、OKが出るまで16回作り直したんですけど、途中でわかったのは、決めているのは担当者じゃなくて、その会社の社長だということ。社長が気に入るデザイン、社長が決めた予算しか通らないんです。だったら社長に会わないと話は前に進まないですよね。それからは社長に会えるよう知恵を絞り、手段を考えるようになりました。

「可能性が見えてきたから、寝ずに働けました」

――そういうことは上司や先輩が教えてくれないんですか?

横田 響子(よこた・きょうこ)/1976年オーストラリア生まれ。1999年リクルート入社。2005年独立し、コラボラボ設立。2013年内閣府・男女共同参画局女性のチャレンジ賞受賞。内閣府・男女共同参画局重点昇進専門調査会委員、第32次地方制度調査会委員、財政制度等審議会 財政制度分科会委員など。著書に『女性社長が日本を救う!』がある(写真提供:コラボラボ)

こちらから聞けば教えてくれるんですけど、聞かないと教えてくれない。

新規事業に異動後、初めて本格的にエクセルを使う必要があって、何日か朝までエクセルと格闘していたんです。ある晩、夜中の2時ごろに先輩がふらりと現れて「横田、何してんの」とパソコンの画面を覗き込んで「ピボットテーブル使えば」と言い残して帰っていきました。使ってみたら15分で作業が終わってしまった。「私の徹夜は何だったんだ」と。

――ブラックな感じもしますが、やり甲斐はあった。

そうですね。当時はまだ長時間労働が普通の時代でした。営業で担当した企業の中に「ウチは業界ナンバーワンになる」と言っている社長さんがいて「またまたあ」と最初は言っていたんですけど、「本気だから、横田さんみたいな新卒が欲しいんだ」と言われました。現在、その会社はちゃんと上場して、テレビコマーシャルもバンバン流しています。会社の成長の一端に関われたことが、今でも嬉しいです。

夜の9時、10時に女子数人で「30分だけね」の約束で、お茶漬け屋さんに行って晩御飯をかきこんで、もう一仕事して終電で帰る。休憩場所で女子トークや仕事の現状を言い合う。同志でありライバルでもある。そんな不思議な連帯感がありました。

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