PS5の「高額転売」がいっこうにやまない実態 ノジマが「転売撲滅宣言」を出すほどに深刻

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2020年11月に発売されたPS5も同様に、“需要”に供給が追いついていない。メルカリなどのフリマサイトでPS5を検索すると転売目的で購入されたとみられる新品・未開封のPS5が希望小売価格の1.5~2倍の値段で売買される事例も多い。

ソニーは高額転売の現状について、「転売行為はやめていただきたい。品薄な状態にあることは認識しているが、できるだけ多くのお客様に希望小売価格でPS5を購入いただきたく、適切な供給量を整えられるように引き続き努力する」と説明する。

PS5発売直後はフリマサイトのメルカリへの高額出品が続出。100台で900万円という1人1台の抽選販売ではありえない出品が報じられたことから、ソニーはPS5の転売防止と協力を求めた。だが、発売から2カ月以上たった今でもメルカリでの高額なPS5出品は後を絶たない。マスクなどの衛生用品を除くと、法律で規制されているのはチケットだけ(チケット不正転売禁止法)。ルールを設けてどこまで出品を制限するかは、フリマサイト側の判断に委ねられている。

ノジマは店頭で罵倒されることも

もっとも、販売元の要請にとどまらず、小売店で明確に転売に反対する方針を打ち出した企業もある。大手家電量販店のノジマは2021年1月31日、転売撲滅宣言を出した。

ノジマは2021年1月に転売撲滅宣言を出した(ノジマHPより)

この宣言について、「当社の顧客層はファミリー層が多い。そうした方々を大切にしたいと強く思っている。個人の利益目的購入で多くの方が残念な思いをされているので、少しでも当社がまっとうな販売をさせていただきたい」(ノジマ・ゲームMD担当者)という。

2020年12月にノジマが実施したPS5の抽選販売は、応募総数12万件を担当部署が1件1件目視でチェックし転売目的での購入希望者でないかどうかの精査を行った。これも転売防止策の一環だった。PS5に限らず、店頭で転売目的とみられた場合は購入履歴を確認し、再来店した場合は会計時に商品の販売を断るケースもある。

「転売目的の購入希望者から、『法律で禁止されていないのになぜノジマが決めたことに従わないといけないのか』と店舗のスタッフが罵倒されることもしばしばある。対応に追われるスタッフに感謝するとともに、法律で転売に規制をかけることは重要と考える」(ノジマ・ゲームMD担当者)という。

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