「内部通報の多い企業」ランキング最新TOP100 通報しやすいオープンな会社はどこなのか

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1位は2017年度まで5年連続1位だったセブン&アイ・ホールディングスとなった。件数は1209件。前年の1226件に比べて17件減だが、2位よりも200件以上多い。

同社では法令順守をはじめ、汚職・贈収賄防止に向けた「私的な利益を受けることの禁止」「違法な政治献金や国内公務員・外国人公務員およびこれらに準ずる者に対する贈り物・接待・金銭的利益を提供しない」などを「セブン&アイグループ企業行動指針」の中で定めている。

法令順守は専任部署としてCSR統括委員会のほか、実務をサステナビリティ推進部、法務部、各事業会社の法務部が担当する。また、CSR統括委員会の傘下にはグループ横断の「コンプライアンス部会」を設置。2009年9月からは、国内連結子会社の全従業員が利用できるグループ共通の通報窓口を社外に置いている。2019年7月、消費者庁の「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」に登録し、2020年度も更新した。

同社の群を抜く内部通報件数の多さは、こういった法令順守体制の強化と窓口の整備の下、問題の早期解決に役立てるための情報が幅広い層から集まっているからだと考える。実際、法令違反等については「公取からの排除措置命令等・他」で2017年度に1件、2018年度に3件あったものの、2019年度は0件となっている。

パナソニックは前年度から倍増

2位は989件のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)。集計の対象はPPIHグループ国内法人だが、前年度に比べて316件増加している。内部通報・告発窓口は社内外に設置し、内部通報者・告発者の権利保護規定も制定。法令順守は専任のストアコンプライアンス推進部と法務部が担当する。汚職・贈収賄防止としては社員教育を実施し、違反した場合の懲罰について規定している。

詳細はわからないが、通報件数の多さや今回の調査範囲の2017年度から2018年度の3年間における、「公取からの排除措置命令等・他」、「不祥事などによる操業・営業停止」、「コンプライアンスに関わる事件・事故で刑事告発」といった国内での法令等に関わる事件が一切ないことは、同社の内部通報制度が機能していることの表れの可能性がある。

3位は前年度の380件から760件に倍増したパナソニック。同社の特徴は、国内外のホットラインを一本化した「グローバルホットライン」、性差別等に関する「イコールパートナーシップ相談室」、自社の会計・監査に関する「監査役通報システム」を設置していること。さらに、通報者等に対する不利益な取り扱いの禁止や秘密の保護等について定めた「社内通報および調査に関する規程」、「通報者等への報復行為禁止に関する規程」を制定していることだ。

また、法令順守の専任部署としてリスク・ガバナンス本部を置き、カンパニー・事業部や海外の地域統括会社などにも担当部署を設置している。贈収賄・腐敗行為防止をグローバルに徹底するため、国内外のパナソニックグループ全役員・従業員に適用される「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」および関連規程も制定した。

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