その男、凶暴につき ヤバイ日本建設大綱<上> 猪子寿之・チームラボ社長に聞く

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「1個の価値観で世界が覆われるのって気持ち悪いじゃないですか。違うアルゴリズム(設計)があったほうがいいじゃないですか」。サグールは、おもろいもの、エッジの立ったファイルが上位にランクされる。

で、サグールはビジネスになったのか。「全然」。この国に検索エンジンの技術を残せれば、それでいい。だから、白虎隊である。

二つ。産経新聞のニュース・ブログポータル「iza」。こちらは大ヒットとなった。相談されて、猪子は率直に言った。「今までの新聞の形は、ある種、終わっている、と思います」。産経側は「じゃ、任せるよ」。06年1月、デジタル部門を分社化した産経デジタルの取締役になった。

猪子はエリート主義を否定した。新聞は少数の記者エリートと一握りの編集者が作っている。が、「情報化社会では“集合知”が圧倒的に勝つんです。情報化社会は多様化しすぎていて、少数のエリートでは追いつけない」。izaは史上初めて、新聞と読者の関係を双方向にした。

記事に対する読者のレビューをすべての記者が共有し(従来、評価はデスクの専権事項)、読者も記事に書き込みができる。書き込みに対する記者の“返信”は、いっさいノー編集。

産経デジタル社長(当時)の阿部雅美はヒヤヒヤだった。「事前検閲なしの記者ブログなんて、できれば面白いが、当時としては革命的なこと。猪子さんは平然と提案する。こっちも、腹をくくって会社を説得した」。

izaは瞬く間に、全国紙トップの人気ポータルとなり、産経デジタルの阿部は、06年の「ウエブ人・オブ・ザ・イヤー」に輝いた。

三つ目は、ルーブル宮殿のメインホールで展示されたデジタル・メディア・アート「花と屍(かばね)」。08年、日仏交流150周年事業の一環としてチームラボが制作した。コンピュータ処理された映像が、掛け軸に見立てた12本のディスプレーに映し出されると、ホールは平安朝の「死と再生」の絵巻物空間に変わった。

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