上野千鶴子先生、東大女子は幸せですか? 力尽きるまで、働くしかできない女たち

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日本を代表する社会学者であり、フェミニズムの牽引役でもある上野千鶴子氏は、「人生相談の名回答者」としても知られる。
女たちのサバイバル作戦」(文春新書)は大きな話題に
朝日新聞の人気人生相談連載「悩みのるつぼ」では、性に悩む中学生や人生をリセットしたい70代主婦など、年齢、属性の異なるさまざまな人の悩みに、歯に衣着せぬ直言で答え、大変な反響を呼んでいる。
その上野先生が、長年教鞭を執った東大に帰ってきた。”日本の働く女性はしあわせになったのか”を問うた話題作「女たちのサバイバル作戦」(文春新書)刊行記念ブックトーク(主宰/東大生協書籍部・文藝春秋)で、今後のキャリアや、女性でいることの生きづらさを感じる現役女子大生の悩み相談に乗るためだ。
現役東大女子は、いったい、どんな悩みを吐露するのか?そして、上野先生はそれにどう答えるのか?上野流「白熱教室」を再現する。

東大女子から「働かない」という選択肢が消えた!

こんにちは、上野千鶴子です。今日は、女性を中心とする東大の学生、院生の皆さんにお集まりいただき、ありがとうございます。

皆さんのお悩みを聞く前に、今回取り上げた著書『女たちのサバイバル作戦』(文春新書)のテーマになっている問い、「なぜ、日本の女性は生きづらいのか」について、少しお話させてください。

早いもので、日本のウーマンリブが誕生してから40年。男女雇用機会均等法ができて、30年近くが過ぎました。そして、私、上野は65歳になりました。

40年前、私が20代だったときは……。笑わないでください。誰だって昔は、少女だったことも処女だったこともあるんですから(笑)。

そのときは、大卒女子に職なんかほとんど、ありませんでした。

みなさん、ご存じでしょうか。東大には女子卒業生だけの同窓会があります。その名も「さつき会」。

以前、そこの事務局の女性から、面白い話を聞きました。曰く、「1990年代の初めごろまでは、東大女子の悩みは『働くべきか、働かざるべきか』だった。でも、2000年代に入ってから、その問いは完全に姿を消して、『いかなる働き方をするべきか?』に変わった」と。つまり、東大女子に働かないという選択はなくなったのです。

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