GoToでファンが全集中、鬼滅「リアル無限列車」 SLの人気沸騰「乗れなくても…」駅に大勢の人

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博多駅で列車を待ち構えたのは、熊本、久留米をはるかに上回る1500人。列車が定刻の13時04分に到着すると歓声が沸いた。途中の鳥栖駅にも600人のファンがやってきたというから4駅合わせて3400人が列車を見るために駅を訪れたことになる。

13時26分、最後尾のディーゼル機関車が牽引する形で回送列車として動き出すと、ホーム上にいたファンたちが手を振って見送った。その中には鹿児島からやってきた男性2人組の姿もあった。

幼児を連れた母親が、炭水車に積まれた石炭を指差して「この黒い石を燃やして列車が走るのよ」と子供に話していた。「本物のSLを初めて見たが、迫力がある」と話している若い女性もいた。鬼滅の刃のファンのみならず、未来の鉄道ファンを育てるイベントにとしても有益だった。

11月3日の運行時は、熊本と久留米にやってきたファンの数は1日と同じだったが、鳥栖は約700人、博多は約1800人とさらに増えた。これ以上人が増えると、駅で列車の写真を撮るのは難しくなるかもしれない。

「無限列車」はほかにもある

しかし、心配は無用だ。8620形は京都鉄道博物館でも「SLスチーム号」として、客を乗せて走っている。「SL人吉は改造を重ねた結果、本来の8620形から形状が変わってしまったので、SLスチーム号のほうが原型に近い」と話す鉄道ファンもいる。少なくとも前頭部の除煙板がないという点では、無限列車と共通している。

京都鉄道博物館の「SLスチーム号」として走る8620形(写真:JR西日本)

SLスチーム号に使われるのは8620形のほか、C56、C61、C62があり、日替わりで運行される。「これまでは“つばめ”マークが付いたC62の人気が高かった」とJR西日本の担当者は話すが、今後は8620形の人気も高まりそう。運行するSLスチーム号の牽引機や運行時刻に関する情報は京都鉄道博物館のホームページで前日の18時にアップされるという。

もし外観ではなく、無限列車によく似た客車内の雰囲気を味わいたいなら、JR東日本の「SLぐんま みなかみ」「SLぐんま よこかわ」の旧型客車がぴったりだ。

Go To キャンペーンを利用して、全国の「リアル無限列車」をはじめとした、鬼滅の聖地を訪れてはいかがだろうか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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