30歳ラッパー輪入道、高校やめて貫いた値千金 物書きとして自分の恥部もすべてさらけ出した

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プレイする人たちが増えたら当然レベルもどんどん上がってくる。それは同じ土俵で戦うときにヒシヒシと感じる。

「でも若いヤツらには負けてもうれしいんですよね。こんなすげえヤツラが出てきてるんだ!! って。それに自分が相手のよさを引き出せたんだ、というのもうれしいんです」

ラップバトルが上手くなるコツ、というのはあるのだろうか?

「単純なんですけど、恥を捨ててトライするしかないです。リズムをとりながらずっと喋り続けるっていうだけで結構大変ですし、それを人前で淀みなくやろうとすると最初は必ずつっかえます。ただ慣れてきて即興で言葉をのせられるようになると、相手の言葉を聞いて拾ったりする余裕もでてきます。

どうなりたいかの理想像はそれぞれ違うので、人に教えるというのは難しいですね。ただ、そこが面白いところです」

現在、ラッパー専業で生活している輪入道さんだが、収入が安定したのはいつ頃だったのだろうか?

「2016年末までは副業をしていました。2017年からはラップ1本で、という感じです。ただ、月によって増減の波が激しいので今も収入が安定したとは言えません。

テレビの出演料などは一過性のものですね。今まで出してきた4枚のCDのストリーミング再生などが主たる収入です。

そしてそれよりもあらゆる面で大きいのが、ライブでした」

ライブ出演で生計が立つようになったものの……

ライブに出演すると出演料が入るし、現場でグッズなどを売って稼ぐことができる。Tシャツ、CDなどを売って入ってくる金額が大きかった。

なぜ過去形なのかといえば、新型コロナウイルスの影響で、ラップのイベントはほとんどなくなってしまったからだ。

「今年(2020年)の3月23日以降、イベントはぱったりとなくなりました。片腕をもがれたような、かなり厳しい状況です。

もちろんネットでも通販でグッズは売っているのですが、やはり対面して販売するほうがずっと売れます」

イベントがなくなった代わりに、無観客の配信をやっているライブハウスやクラブもある。ただ、それもかなり難しいという。

「観客が誰もいないところで、カメラに向かってラップをやり続けるというのは、思っていたよりキツかったですね。ずっとリハーサルをやり続けているような感じで、モチベーションを維持できなくなりそうでした。

カメラの向こうでたくさんの人が見ているというプレッシャーはあっても、人前で叫んでいるときのそれとは別物でした。厳しいですね」

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