「リアリティーショー」が世界で流行する必然 恋愛系、オーディション系が大人気

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リアリティショーの原点はアメリカ発の「サバイバー(Survivor)」と、オランダ発の「ビッグ・ブラザー(Big Brother)」にあるだろう。両番組はともに2000年前後にヒットし、知名度を世界的に広めていった。両番組が今日まで続くリアリティショーのヒットの法則を作ったと言っても過言ではない。

「サバイバー」は孤島などの僻地に隔離された参加者が「最強のサバイバー」を目指して、サバイバル生活をしながら賞金争いするというもの。また「ビッグ・ブラザー」は外部から隔離された家にカメラとマイクを設置して、男女十数人の生活の実態を映し出すもの。

今ヒットしている「ラブ・アイランド」は、まさにこの2番組のヒットの要素を掛け合わせたものとも言える。「サバイバー」や「ビッグ・ブラザー」に影響されながら、新たな設定で作り出されるリアリティショーは実際に多い。

カラオケ勝ち抜きバトルも人気

今、世界中に広がりつつあるリアリティショーには、「ラブ・アイランド」のほか、2020年の米エミー賞のノンフィクション部門でノミネートもされた米FOXのカラオケ勝ち抜きバトル「The Masked Singer」も最注目作品だ。

オリジナルは韓国MBC。出演者が揃って顔にマスク=仮面、全身コスプレの謎の姿で登場し、顔の表情も姿形さえもわからない状態で歌うという、テレビのタブーを逆手に取った番組が2019年1月から放送スタートするやいなや、人気を得た。

この「The Masked Singer」は、イギリスが生んだリアリティ公開オーディション番組「ゴット・タレント(Got Talent)」の系譜を踏む。

2000年代から人気を集める「ゴット・タレント」はアメリカを始め約80カ国もの国でローカル版が作り出されている。また「ゴット・タレント」から派生した「Xファクター(The X Factor)」も130以上の国と地域で放送されており、リアリティ公開オーディション番組の代表例にある。

勝ち抜きバトル形式のリアリティショーフォーマットは歌やダンス以外の分野にも広がり、ファッションデザイナーバトルの「プロジェクト・ランウェイ(Project Runway)」、メイクアップアーティストバトルの「メイクアップ・スター(Glow Up: Britain's Next Make―Up Star)」、ドラァグ・クイーンバトルの「ル・ポールのドラァグ・レース(RuPaul's Drag Race)」などのヒット番組も生まれている。

日本でもヒットしたAmazonプライム・ビデオの婚活サバイバル番組「バチェラー・ジャパン」に象徴されるように、動画配信オリジナルのリアリティショーも今、続々と制作されている。

イギリスの調査会社AMPERE社によると、2019年1月時点ではリアリティショーなどのUnscripted番組は世界市場で開発された番組プロジェクト全体の21%程度を占めるに過ぎなかったが、同年から顕著な動きを見せ始め、10月時点では全体の半分を上回る55%の割合に達した。

その後もリアリティショーの開発プロジェクト数はその水準をキープしながら推移していることが報告されている。この増加要因に挙げられているのが、動画配信オリジナルのリアリティショーなのである。

フェイスブックWatchやユーチューブ、Snapchatなどソーシャル系動画メディアでもリアリティショー人気は高く、ドラマよりもタイトル数が上回っているほど。

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