JR原宿駅建て替え、国立駅再築と何が違うのか 西洋風建物の旧駅舎外観は「可能な限り再現」

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JR東日本が原宿駅の改良を発表したのは2016年6月、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」)対応の一環として、千駄ケ谷駅・信濃町駅とともに具体的な計画を公表したのが最初だ。しかしこのときは、新駅の概要に言及しただけで、旧駅舎については触れていなかった。

現役時代の原宿駅旧駅舎(筆者撮影)

一方、渋谷区議会では同年9月の定例会で「シブヤを笑顔にする会」の伊藤毅志区議会議員が初めてこの話題に触れた。

議事録によると、同月行われたJR東日本による工事説明会で旧駅舎の扱いについて質問や要望が相次いだものの、JR側からは明確な返答がなく、説明会が紛糾したと報告している。さらにまちづくり協議会では、駅舎を渋谷区の有形文化財に指定できないかという声が上がっていたという。

渋谷区議会で度々議論

これに対して長谷部健区長は、工事説明会ではたしかにJR東日本から明確な回答はなかったものの、6月の駅改良計画発表の際には同社社長がメディアに「保存か解体かは渋谷区や地元関係者の意見を聞いて検討したい」と述べたことを紹介。文化財申請については所有者であるJR東日本の同意を得なければならないとしつつ、今後の課題としていくと回答した。

3月に供用開始した原宿駅の新駅舎(筆者撮影)

翌年6月の定例会でも、同じ会派の田中匠身区議から文化財登録の動きを起こすべきと提言が出された。区長はこのとき、文化財指定を含めた保存検討をすべく、JR東日本と渋谷区で勉強会を同月立ち上げることを明かした。

2018年2月の区議会定例会では自由民主党議員団の斎藤竜一区議が、次年度予算案に駅舎の保存・活用検討のための予算が計上されている点を尋ねた。これに対して区長は、同月までに7回開催した勉強会で判明した内容を紹介している。

それによると、現駅舎(当時)は創建時には駅舎の真後ろに跨線橋があったが、昭和30年代にコンコース建設に合わせ跨線橋を作り直し、北側の一部は道路拡幅のために削られ、裏側には駅務室が増設されるなどかなりの改修が進んでおり、どの部分を保存するかなど専門的な検証が必要とのことだった。

また駅舎を保存した場合の建物や周辺の活用方法、新駅舎から東京メトロ明治神宮前駅への乗り換え動線や駅前広場確保などの駅周辺まちづくり、保存・活用のための資金調達など多くの課題があり、2018年度予算では専門的な調査・研究を行うために必要な経費を計上し、勉強会を強化したいという考えを明かした。

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