大阪信金流「産学連携」術、社員を大学に常駐させ“扇の要”に

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大信を仲介役に事業化された製品はほかにもある(下表)。どれも中小企業らしく地味ではあるが、画期的な技術が生かされている。これらは、信金らしい地面をはうような営業で顧客のニーズを拾い、大阪府大という産学協同のパートナーとともに積極的にかかわってきた姿勢が生んだ賜物である。 

 

大学と企業の距離埋める常駐信金マンの「営業力」

大信で独特なのは、02年から「産学連携コーディネーター」と称した社員を大阪府大に常駐させている点だ。さらに、各支店にも産学連携の相談窓口を設置、主に中小企業診断士の資格を持った社員が対応し、相談内容をすぐに産学連携コーディネーターに届けるなど、組織的なバックアップ体制も築いている。

コーディネーターは、営業の第一線に立つ社員が担当。「まずは大学にどんな先生がいるか。次にその先生に顧客企業の問題をどうぶつけるか。それには常駐して先生らの専門や個性まで把握しないとうまくいかない。これには一種の営業力が必要」と、大信の高井嘉津義CSR推進部長は胸を張る。大学側に企業の要望をうまく伝え、狙いどおりの開発を進めるには、間に立つ信金社員の営業力が生きる、という考えだ。

大阪府大の菅野昌志理事も「常駐しているからこそ、彼らは大学側の事情が肌身にしみている」と話す。同大は現在12の金融機関と提携しているが、社員の常駐は大信のみ。相談内容をともに議論し、企業の元へ研究陣とコーディネーターが一緒に駆けつけるのが基本だという。

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