「業務スーパー」が圧倒的支持を集める納得の訳 店内演出より、商品で「買い物の楽しみ」を訴求

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「新鮮おやさい」を掲げ、野菜・果物に力を入れる店もある(筆者撮影)

いろんな意味で業務スーパーらしい商品が「紙パックに入ったデザートシリーズ」だ。

「杏仁豆腐」「チョコババロア」「マンゴープリン」(視察時は275円+税。以下同)や「ふるゆる巨峰ゼリー」(同195円)「オレンジゼリー」(同178円)などがあり、1リットルの牛乳やジュースと同じ紙パックに入っている。

「発売当初は『水ようかん』と『杏仁豆腐』の2品だけでした。これまでにない商品で、『本当に売れるのか』と不安視する声は社内からも多かったです。

ただ、当社にはチャレンジ精神もあります。発売してみたところ、見た目のインパクトや価格・味などが支持され、SNSで爆発的に拡散されていきました」(花房さん)

これらも自社グループ企業による国内製造。「業務スーパーらしい」と記したのは、「7~8人分」と表示されるように、1食当たりでは安価なこと。何よりも、こうしたスイーツ系を紙パックに入れてしまうところだ。これなら商品陳列も飲料の棚に置ける。

こうした新商品を企画する場合、通常は少し凝った容器に入れたがる(開発側)。一方で、発売後は大量生産となる製造現場(生産側)は、生産ラインでの「安定製造」を求める。長年商品開発の現場を取材して、そうした議論も見てきたが、すでに実績のある紙パックなら生産が安定するのだ。容器開発のコストも抑えられ、商品価格も安くできる。

紙パックのデザート類(筆者撮影)

「出店したい」オーナーは多い

900店近くに増えた店舗は、大半がFC(フランチャイズチェーン)店で、直営店は2店だけ。地場食品スーパーも多く、「業務スーパー」看板の下に屋号を掲げる店もある。

コロナ禍でも新規出店が続くのは、「出店したいオーナーが多いから」だ。

魅力の1つはロイヤルティ(権利使用料)の低さで、「仕入れの1%」となる。新商品などは本部推奨もあるが、神戸物産の取扱商品の中から、何を仕入れるかは各店の裁量だ。メーカー機能も持つ同社(グループ企業)は商品の取り扱いも幅広い。

「当社から『業務スーパー』店舗への商品出荷実績は全国平均で、7月が対前年比114.3%、8月が113.3%。2019年2月からずっと2ケタ増となっています」(花房さん)

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