「業務スーパー」が圧倒的支持を集める納得の訳 店内演出より、商品で「買い物の楽しみ」を訴求

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(1)の人気商品を神戸物産に聞いた。

「国内製造では、460円(税別、以下同)で販売している『徳用ウインナー』1kgが人気です。当社グループの養鶏場で育てた鶏を原料に使用しており、原料の生産から加工、販売までグループで一貫して行う代表的な商品です。骨回りの肉まで余すことなく使用することで、品質を担保しながら価格を下げられています」

経営企画部IR・広報課長の花房篤史さんはこう説明し、続ける。

「1本で約1.8斤ある『天然酵母食パン』も人気です。高単価な食パンと比べても遜色のない品質で、価格は228円なので非常に人気の商品です。もともと岐阜のパン工場で製造しており、人気のため埼玉にも工場を増設しました。それでも供給が足りなくなり、岐阜に建てた新工場で9月から生産も始めています」

神戸物産は製造・卸・小売りを自社グループで手掛けるが、これらはその象徴例だ。

「特用ウインナー」は平日昼下がりでも商品が減っていた(筆者撮影)

「目的買い」のお客、「未知を楽しむ」お客

国内製造の人気品を買うのは個人客が多いが、業者が支持するのが次の輸入品だ。

「2kgの『鶏もも肉(ブラジル産)』は、648円(2020年9月末)なので、100gあたり約32円。この圧倒的な安さが人気で、個人客も買われますが、業者の方の引き合いが強い。1kgで195円の『フライドポテト(シューストリングカット)』もそうです。何種類かあるポテトのうち、いちばん細いカットのこの商品が最も売れます」(同)

筆者も店にはよく足を運んで買う。担当編集の1人と一緒に視察・購入経験もある。業者と思われるお客が目的買いで来店し、手早く品物を入れるといった光景も目にしてきた。

(2)と(3)は店によって異なり、季節感のあるPOPなどの演出がない店もある。そうした店は店内も倉庫のようで素っ気ないが、花房さんはこう説明する。

「もともと商品を売れ筋に絞り込んでおり、季節性の品はあまり多く取り扱いません。店内装飾などの手間を極力減らして、商品価格を抑えるのも当社事業の特徴です」

消費者の感想は分かれ、「買い物をする楽しさが少ない」と来店頻度を減らす女性もいれば、「意外な商品が見つかるので面白い」と話す男性もいた。

「自宅の近くに2店舗ありますが、魚介類が充実している店、そうでない店、それぞれを目的によって使い分けます。価格は両店ともに安いので重宝しています」(同じ男性)

ちなみに全店での平均客単価は推定1200~1300円と聞く。

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