いよいよ新型「iPhone」発表迫る!中身を大予想 4種類のiPhoneと「オーディオ製品」を示唆?

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アップルは例年、9月10日前後に新型iPhoneとApple Watchを発表し、翌週から発売を開始してきた。その理由は、9月末日が締め日となる第4四半期決算に、新型スマートフォンの売上高の初速を含めるためでもあった。しかし今年9月に開催されたイベントでは、iPhoneは登場せず、2020年第4四半期決算、あるいは2020年度全体の売上高に、2020年モデルのiPhoneは完全に含まれない。

そのため、2020年第3四半期決算の電話会議の段階で、アップルはiPhoneの数週間の遅延を告知した。売上高に大きな影響を与えるため、あらかじめ投資家に明らかにしておくべき情報だったからだ。2020年の新モデルとなるiPhoneの売上高はすべて、2021年度に計上されることになる。

iPhoneは2020年モデルで、5Gに対応すると見られる。iPhoneは2008年に3G、2012年に4Gに対応してきた。日本では新世代のモバイル通信インフラが先行し、iPhoneが登場する以前から、最新世代の通信が可能なスマートフォンやモバイルルーターが市場に登場してきた。これはアメリカなどの他の市場でも同様だ。

しかしiPhoneが新世代の通信の呼び水として期待されている側面は大きい。筆者は2012年のiPhone 5、すなわち4G LTE元年をアメリカで迎えたが、iPhoneによって一挙に4Gの速度や体験に注目が集まり、高速通信を前提としたリアルタイムマッチングアプリ、ビデオ視聴のアプリなどが爆発的に普及した様子を見てきた。

広がる「iPhone待ち」の雰囲気

アップルは必ずしも通信などの最新技術に先陣を切って対応する企業ではなかったが、アプリ企業も通信業界もiPhoneの5G対応を待つ「iPhone待ち」の雰囲気が広がっている。最も普及する機種の5G対応がなければ、5Gインフラも5G前提のアプリやサービスも利用できない、という当たり前の事情だが、裏を返せばiPhone以外のプレイヤーが5Gを普及させるだけの力を持っていないことを表している。

この「iPhone待ち」は、新型コロナウイルスの影響で開発やフィールドテストなどに遅れが生じた2020年モデルのiPhoneにとっては好都合だ。市場をコントロールしている企業の強みによって、iPhoneの遅れがビジネス上の大きな障害とは言えなくなっている点を指摘できる。

だからといって、冷え込んだ消費者市場が上向くことも期待できない。2017年のiPhone Xでハイエンドモデルの価格を一挙に999ドルに引き上げ、高付加価値戦略を打ち出してきたアップル。しかし2020年9月の発表では「ミドルレンジ強化」策を打ち出してきた。iPad Airには、まだiPhoneにも搭載されていない最新チップ、A14 Bionicの採用を先んじて発表した。またApple Watch SEを登場させ、中価格帯の製品の付加価値を高めることで、値頃感を打ち出している。

iPhoneについても同様で、5Gや最新のカメラ機能満載のハイエンドモデルに重点を置きすぎると、消費者が置いて行かれてしまう。またエントリーモデルは2020年4月にiPhone SEを投入済みだ。ハイエンドモデル以上に、ミドルレンジの充実をどのように図っていくのかが、注目のポイントとなる。

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