実現できる留学。想像を超える収穫。 工学院大学
この二つの問題をクリアして、留学を現実的な選択肢としたのが工学院大学のハイブリッド留学プログラム。
留学を体験した学生の声からもわかるように、収穫の大きさは想像を超える。
ハイブリッド留学のイノベーション
「これまでの留学は、英語力が前提として必要でした」。工学院大学の水野明哲学長が語る。「一般的に求められるレベル一つをとっても決して容易な基準ではなく、特に理工系の学生には高い壁となります。専門の講義についていくだけでも忙しいので、英語力の向上のためだけに多くの時間を割きにくいのです」。
その上、多額の費用がかかる。「在籍する日本の大学に加えて、現地大学の授業料も二重に支払わなければなりません。米国の州立大学ですらかなりの額になるので、この費用負担は大きい。さらに単位の互換協定がない場合は、日本の大学の留年も想定しなければならないため、留学への意欲はあっても、なかなか実現できないのが実情でした」。
これに対して、工学院大学のハイブリッド留学プログラムは、英語力を問わず、新たな学費の負担も発生せず、しかも留学ゆえの留年の心配もない。「とにかく、学生たちが海外へ飛び立つことを最優先したのです。学生は現地にホームステイし、提携校に通って、英語と専門科目を受講します。その際、英語の授業は提携校のネイティブの教員が担当しますが、専門科目は、本学の教員が日本から出向いて日本語で講義をします。当然、講義での英語力は問われません。しかも、現地での学費は不要ですし、帰国後に単位として認められる。これにより、留学を阻むハードルを、一気に引き下げることが可能になりました」
プログラム体験者たちはどう変わったか
記念すべき初のハイブリッド留学プログラムは、昨年8月下旬から今年の1月上旬までの4カ月半、建築学部の三年生21名を対象に、英国カンタベリーで実施された。
「もともと語学に興味があり、在学中に留学すると決めていました。だから、アルバイトで貯金して、三年の夏には、すでに留学費用は貯まっていました」と語るのは、その21名の一人。現在、四年になった建築学部建築デザイン学科の﨑山涼さんだ。
「ただ、それだけに毎日が忙しく、留年の不安もあって、なかなか踏み切ることができませんでした。そんな時にハイブリッド留学を知り、これまでの留学とはまったく違うので、本当に大丈夫なのかという気持ちもありました。でも行ってみたらとてもすばらしかった。英語の発音やヒアリングが鍛えられたことはもちろんですが、ホストファミリーと生活し、200近い欧州中の建築作品を見て回るうちに、視点や考え方が変わっていくことを実感しました。大学院に進むことを決めたのも、この留学のおかげ。収穫は想像以上でした」。
「私も留学中に大学院に進む気持ちを固めました」。同じく建築学部建築デザイン学科四年の宮地茉奈さんも語る。「中学の時に米国でホームステイを経験して以来、また留学したいという気持ちが強く、特に建築学部に入ってからは、海外のいろいろな建築を見たいという思いを募らせていました。しかし、すべてを自分で調べ上げる時間もなく、踏み出す勇気がありませんでした。そこへハイブリッド留学という手が差し伸べられて。前例のないプログラムへの不安はありましたが、行ってしまえば後は自分の頑張り次第と考えました。実際に、今までいろいろな理由をつけて海外へ出なかったことを後悔。行動すればするほど視野が広がって、建築を五感で感じ取ることができ、自分が何をしたいのかもはっきりとわかりました」。