「別財布」の共働き夫婦が金欠に陥りやすい訳 結構高収入なのに、なぜかお金が逃げていく

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実は、江美さんが直人さんを責められない理由は、もう1つあります。江美さんも貯蓄をほとんどしていないのです。

江美さんの手取りは約30万円。食費と子どもの習い事や塾の費用、自分自身の生命保険料を負担すると、残るのは約10万円。そのほとんどを被服費、交際費などに使ってしまい、残ったら貯蓄という程度。ボーナスをもらっても、「帰省費用は私が出しているし、家電の買い替えに出すことも。なかなか貯蓄はできない」と言います。

数年前に新築マンションを購入した際は、双方の親が少しずつ出してくれたお金と、それぞれの貯金から200万円ずつ出し合いました。それが一段落して時は経ちましたが、直人さんの貯蓄が約100万円、江美さんは200万円です。世帯年収が1000万円ありながら、貯蓄は300万円しかないのです。

2人で稼いでいるがゆえに「甘え」も出やすい

直人さんに限らず、趣味にお金を使いすぎる人は少なくありません。筆者が相談に乗った人の中には、妻がフィギュアスケートの大ファンで、海外観戦に行くなどしてお金を使いまくっているケース、アイドルグループを追いかけて、ライブや舞台など全国を駆け回っているというケースもありました。ゴルフや競馬、サッカーにお金を使っている夫にも出会いました。

夫が妻に、妻が夫に内緒で実家に仕送りしているというケースもあります。悪いこととはいえませんが、仕送りは自分たちの生活や将来を踏まえて無理のない範囲に抑えるのが基本。パートナーに内緒というのは言語道断です。2人で稼いだお金は、2人が協力して築いた共有財産であり、勝手に使うのは感心しません。

太田家や武井家のような状況に陥ってしまうのは「共働き」だからであり、そこに「甘え」が出やすいからです。

共働きで収入が多いから、趣味にお金を使っても大丈夫。仕事と家事・育児の両立は大変だから、多少お金を使ってもいいはず。妻が、夫がお金を貯めているはず。共働きなのだから、その気になればいつでも貯められる……そんなふうに軽く見積もっていることが多いのです。

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