音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル、頼みの携帯配信も頭打ち、「神風」を待つ音楽業界【上】

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発売解禁の午前0時へのカウントダウン。

「スリー! トゥ! ワン! ゼロ! マイコー!!」。

深夜の渋谷に歓声が上がる。電話ボックスの屋根で踊りだす人も出現。

1月26日、急逝したマイケル・ジャクソンのDVD『THIS IS IT』を1秒でも早くゲットしようと、数百人のファンがタワーレコード渋谷店前に詰めかけた。

その光景は、ジリ貧にもがく音楽市場に訪れた、つかの間の“真冬の夜の夢”だった。今、日本の音楽市場は、長期低迷の中を漂流している。CD生産額はピーク時の半分以下に落ち込み、レコード会社の再編もささやかれる。

レコード専門店は一足先に淘汰の動きが本格化、かつてのトップ企業も経営再建中で、外資はすでに資本を引き揚げた。エイベックス旋風が吹き荒れたかつての華やぎは、もはや遠い過去だ。

「2ケタ減」の重い意味 音楽は消費する商品に

1990年代中盤、CDバブルは遅れてやってきた。団塊ジュニアがCD購入層に到達し、J−POPの質が向上。ドラマ主題歌・CMソングは即ヒットという構図が定着した。

エイベックスによるテレビCMという新手のマーケティング手法も当たった。「CDのCMなんて」と鼻で笑っていた他社も追随、CD需要は一気に盛り上がった。

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