「安倍政権というバブル」の後に待ち受ける結末 誰がなろうが次期政権は一段と困難な状況に

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「安倍1強」といわれ続けたが、その理由は、安倍氏の性格(1回目の首相を辞任した後も見捨てずに支えてくれた仲間を非常に大切にした)、小選挙区制度という構造(こちらはよく知られている事実)ということ以外に、安倍政権の誕生がバブルの底から始まったことにある。

だから、バブルの上昇余地が大きかったのだ。国民の期待値も最低レベルから、自民党衆議院議員数も最小レベルからの急増だった。このように、バブルが急膨張したことにあったのだ。

バブルの特性としては、いったん膨らみ始めれば、それ自体が勢いになり、力になり、バブルは加速し、しばらく持続するというものがある。そして、中身が失われても、バブルは続く。アベノミクスへの疑問が出始めても、スキャンダルで人気が低下しても、いったん始まってしまったバブル構造は慣性の力で動き続ける。だから、安倍自民党総裁の3期目でも、一定の力は保ち続けたのである。

「安倍バブル崩壊」は典型的なパターンどおりだった

しかし、このバブルは、最後はあっけなくはじけてしまった。ただし、これは意外なことではない。バブルが崩れるときの典型的なパターンにはまっている。それは「周辺から崩れる」ということである。

株式バブルにおいても、最初のブームは何らかの根拠があるが、ブームになった銘柄で儲けた投資家は、その利益でほかの銘柄にも乗ろうとする。バブルが続けば、乗る銘柄がなくなってくる。

みなバブルで上がってしまっているから「出遅れ株」という株、つまり、出遅れていて、まだ上がっていないという理由以外では投資できない銘柄、要は「上がる理由がない銘柄」に、みなが群がることになる。そして、それらが上がり、もう次に乗るところがなくなれば、あとは崩れるきっかけ待ちになる。

それと同じで、バブルの末期には、自力はないのに、バブルの流れに乗って勘違いして盛り上がってしまった人々がバブルの饗宴に浮かれてミスを犯し、それがきっかけで、全体のバブルが終わることになるのである。

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