20代男性より中年世代の「草食化」が深刻な訳 若者の恋愛離れ説は本当に正しいと言えるのか

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年代別に、24歳までの「告白・デート・キス・セックス」の体験率をグラフ化したものが以下です。

これを見ると、意外なことがわかります。未婚男性に限れば、20代の若者も、30代も50代も、ほぼ24歳までの経験率に大きな差はありません。決して、若者が恋愛経験をしていないわけではないのです。

むしろ、40代未婚男性だけが、デート以降の恋愛経験率が突出して低いことがわかります。補足しますと、40代未婚男性の経験率は、他と比べて25歳以上の比率が高くなっていて、要するに「晩恋化」と言えるでしょう。逆に、未婚女性は、20代だけがデート以降の経験率が他の年代と比べて10%ほど低くなっています。

40代未婚男性は経済事情で恋愛できない

こうしてみると、「若者の恋愛離れ」とは20代未婚女性の恋愛離れであって、男性に限ると、「40代未婚おじさんの恋愛離れ」というべきなのかもしれません。

40代未婚男性が恋愛に踏み切れない要因は、まさに「ロスジェネ世代」といわれたように、ひとつには、経済的要因が大きいとは思います。今でも、婚活界隈では、ある一定レベルの年収以下の男性に対しては、はっきりと明言はしないものの「あなたには恋愛も結婚もする資格はない」と突き付けられているという現実があります。

ただし、こうした層も、その後、25歳以降では恋愛経験率が向上しています。自分の収入が安定した段階ではじめて恋愛行動に踏み出せたのでしょう。そういう意味では、「40代未婚おじさんの恋愛離れ」というより「低年収のまま40代を迎えた未婚おじさんの恋愛市場からの締め出し」と呼ぶべきなのかもしれません。

しかし、こうしたデータを提示しても、それでも頑として引き下がらない大人たちがいます。「なんだかんだ、俺たちの若い頃より、今の若い男たちは積極性に欠ける。金がないからと言い訳ばかり達者で、何事にも能動的にいかないから恋愛も結婚もできないのだ。そういう姿勢を草食というのだ」というわけです。

たしかに、そういう年齢層(60代以上)の方たちがそう発言する気持ちもわからなくはありません。彼らが20代の頃の1980年代までは、日本はほぼ全員が結婚する皆婚社会だったからです。男女とも80年代まで生涯未婚率(50歳時未婚率)は5%以下でした。

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