
家電製品は高機能化に伴って、その使い方も複雑化している。「新しく洗濯機、冷蔵庫を買ったが、どう設定をしたらいいのかわからない」、「エアコンの温度調節がうまくいかない」――。町の電器屋さんでの製品購入が減った今、そんな時に頼りになるのがメーカーのサポートだ。
サポートの改善策として、パナソニックは3年前からウェブサイトにあるFAQ(よくある質問)の充実に取り組んでいる。従来、同社では、お客様からの問い合わせを電話やメールで受けるサポートが主流だった。しかし、電話の声だけで、複雑な操作を含めた情報を伝えるのは難しく、問題解決までに30分以上かかることも多い。その点、ウェブサイトのFAQは画像や動画、音も使えるので、お客様にとってわかりやすいコンテンツを用意することができ、顧客満足を上げることにつながる。会社側にとっても、お客様の問い合わせにウェブ上のFAQで答え、電話やメールでの個別対応を減らせれば、コスト削減できる。
お客様にわかりやすい文章表現の見直しなど、「本当に役立つFAQ」を目指した活動の結果、FAQ閲覧者の「役に立った」「やや役に立った」と答えた人の割合(FAQお役立ち率)は6%から78%まで上昇した。
このパナソニックのFAQ改善を支えているのが、ナレッジの整理や顧客サポートを支援し、FAQサイトへのアクセス、行動履歴などを分析できるオラクルの「RightNow」だ。パナソニックコンシューママーケティングジャパン本部情報グループCS本部担当グループマネージャーの指田宗昭氏は「FAQの効果分析ツールとして、RightNowは非常に役に立っている」と話す。
情報グループCS本部担当グループマネージャー
指田宗昭氏
FAQをさらに充実させるには、「役に立たなかった」と答えた残り22%のお客様の要件を詳細に分析し対応する必要がある。どのFAQがどれくらい役に立っているのか、なぜ役に立たないのか……。1万件以上あるFAQを手作業で分析することは不可能だが、RightNowは各種データをレポートにまとめてくれる。パナソニックでは、1人あたりのアンサー参照数や検索回数などの指標データを重点的にチェック。1人あたり1であれば1回でお客様の問題が解決できたと考え、1.1~1.2程度に収まるようにQ&Aを改善することで「役に立つFAQ」を維持しようとしている。
また、コールセンターの態勢によって受電数に限界がある電話サポートと違って、ウェブサイトのFAQは制約がなく、アクセス数の分析結果は興味深い知見を反映する。たとえば、参照されるQ&Aの内容は季節によって変化する。引っ越しの多い春には冷蔵庫の移動、寒波襲来時は暖房が効かない、冷房シーズン前はエアコンの手入れ、といった情報へのアクセスが増える。こうしたデータを活用して、季節に合ったQ&Aを検索上位に表示したり、メールサービスで通知したり、といった工夫を重ねることで、顧客満足度の向上につなげている 。
サポートページを経由せずに、グーグルやヤフーなど外部検索エンジンから直接FAQにアクセスするお客様も増えている。そこで、実際にどのようなワードで、どんなFAQを検索しているかをRightNowで分析。目的に沿ったQ&Aが表示されるようにキーワードの追加を行う、といった改善も積み重ねている。FAQはお客様から「使えるね」と思ってもらえるようなコンテンツの質の高さが勝負だ。お客様からの信頼が、FAQをさらに使ってもらえるという好循環につながっていく。

パナソニックでは以前、エアコンに関するFAQが古く、質的に不十分なものを含めて掲載したところ、お役立ち度が下がる、という経験をした。社内向けの言い回しをしているナレッジをFAQにコピーしてもお客様からは理解はされない。実際にどんな言葉で検索するのか、どんな言い回しなら理解されるのか。様々なことを考えて、顧客目線でQ&Aを少しずつ磨き上げる。指田氏は「あきらめずに、しつこく改善する、タフな作業だが、数値が改善すれば『お客さまの役に立てた』という実感があり、励みにもなる」と話す。そんなパナソニックの地道な取り組みをオラクルのRightNowが支えている。