人口減少の日本には「所得倍増計画」が不可欠だ 単発の政策ではなく「パッケージ」で対応せよ

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生産性は「GDP÷人口」と計算されます。今後人口は減りますが、社会保障を受ける高齢者の数は減りませんので、GDPを少なくとも維持する必要があります。人口が減る以上、GDPを維持するためには生産性を向上させなくてはなりません。

GDPは「消費+投資+政府支出+純輸出(Y = C + I + G + NX)」と定義されます。このうち最大の項目である消費は、究極的には「労働者数×給料」で決まるので、消費総額を守るためには、労働参加率と給料を上げる必要があります。

安倍政権のもと、ここ数年で日本の労働参加率は劇的に高まり、ほぼ上限に近づいていますので、これからは給料を上げていかなければなりません。給料は結局のところ労働生産性に比例しますので、労働生産性を引き上げる経済政策が必要です。

「大企業ほど労働生産性が高い」は世界の常識

日本だけでなく世界的に、労働生産性は企業規模が大きくなるほど高まります。ですから、給料を高めるには企業の規模を拡大する必要があります。現状、日本企業の平均規模はアメリカの6割、EUの3分の2しかなく、労働生産性が低迷する大きな要因となっています。

日本とEUの労働生産性を企業規模別に比較してみましょう。大企業の労働生産性では、日本はEUを上回っていますが、中堅企業と小規模事業者では、逆に大きく下回っています。これも実は規模の問題です。EUの中堅企業の平均的な規模は104.4人。対する日本は、わずか41.1人にすぎないのです。

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