発達障害「家族だけで解決するのが超危険」な訳 子供を「叱る」よりもまずは「離れる」を選ぼう

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ASD(自閉スペクトラム症)に顕著ですが、発達障害の人は、人の言葉の裏が読めず、言葉を真に受けてしまう、信じてしまう傾向が強くあります。その結果として性被害が起こりやすいのです。

同じ理由で、詐欺などの被害にも遭いやすいと推測されます。まずは、そのような危険があるということを親なり教師なりが指導することが大切です。また、「知らない人に声をかけられたら警戒しなさい」など、具体的なルールを作ることです。

言葉の裏を読むのは難しくても、こういうときに性被害が起こりやすい、こういうときはお金のトラブルが起きやすいと、パターンを覚えることならできるからです。

叱るより「離れる」

私がいつもご家族にアドバイスしているのは、「無理に子どもの行動を直そうとしない」ことです。

一度は注意することが必要です。でも、その後も問題行動が続くようなら、いったんは子どもから離れるように指示します。家族との関係性を悪くしないことが、いちばんだからです。同じ注意や叱責が何度も続けば、相手も反論してくるでしょうし、やがて感情的になって、お互いに罵声を浴びせ合うことになりかねません。毎日顔を合わせる家族とそんなことをしていたら、誰だってイヤになります。

しかし、これが実によくあるパターンなのです。

「なんとか子どもの問題を解決したい」という親心があるのはわかります。でも、口で注意して行動が変わるぐらいなら、とっくに解決しているはずです。注意することがそのまま感情をぶつけ合うことになってしまうのでは、親子関係を悪化させるだけです。

例えば、買い物依存症を治すよう注意をしたとします。治ったように見えることもあるかもしれません。でも現実には、家族から隠れたところでいくらでも買い物は続けられますし、カードローンだって借りられます。親の金を盗む例もありました。

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