日銀リポート、金融機関のリスク資産運用増に 国債投資は圧縮の一方、貸出は増加続く

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4月23日、日銀は金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。写真は銀行の看板。都内で2009年8月撮影(2014年 ロイター)

[東京 23日 ロイター] -日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。

昨年4月の「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)の導入以降、金融機関は国債投資を減少させる一方、貸出や投資信託などリスク性資産の運用を増やしており、ポートフォリオ・リバランスが次第に進行している。金融面の不均衡については、現時点で見られないと指摘した。

リポートによると、日銀が異次元緩和によって大規模な国債買入を続ける中、大手行を中心に国債投資を圧縮する動きが継続。それまで国債残高を増加させてきた地域銀行や信用金庫も足元の残高は横ばい圏で推移しており、異次元緩和以降、金融機関は円金利リスクの積み上げを慎重化させている。

この結果、金利リスク量も減少している。金利が全年限にわたって1%上昇した場合の円債の評価損は、2013年12月末時点で7.5兆円となり、同6月末の7.9兆円から減少。内訳は大手行が2.6兆円、地銀が3.0兆円、信金が1.9兆円で、仮に景気回復を伴わずに金利が2%上昇しても、全体として規制水準を上回る自己資本比率が維持できるとしている。

金融機関が国債投資を圧縮する一方で、貸出は前年比2─3%程度の増加が続いており、景気回復を背景に足元では中小企業向けの伸びが高まるなど業種や地域にも広がりがみられている。海外貸出も大手行を中心に高めの伸びが継続。株式を中心とした投資信託などリスク性資産への投資も増加しており、日銀が異次元緩和の効果の波及経路の1つと位置づけているポートフォリオ・リバランスがじわりと進んでいる。

こうした中でリポートでは、金融資本市場や金融機関の行動について「過度な期待の強気化など、金融面の不均衡を示す動きは、現時点では観察されない」と指摘している。

株高や企業の信用力向上などを背景に金融機関の決算は好調だが、国内の貸出利ザヤ縮小を主因にコア業務純益は依然として低下傾向を続けている。本業の収益力向上という課題は克服されておらず、日銀では「中長期的には損失吸収力やリスク・テイク余力を制約する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

(伊藤純夫)

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